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記事全文を読む→映像ディレクター・佐々木敦規の「お台場ハチャメチャ青春記」〈第3回〉(1)大物揃い「かくし芸」を仕切る
無茶苦茶だけど、おもしろくなりそうだ─こう思える企画に関して、フジテレビの間口は広かった。局員、制作会社、フリーの区別なく話を聞く。格闘技+バラエティーで大人気を博した「SRS」も、そうした空気ゆえの結実だ。「K-1」人気の高まりとともに番組は大変革を迎える。
「どのテレビ局でも『制作会社のスタッフ』と蔑まれているような視線を感じたことはあります。だけどフジテレビでは、そういうことは一度もなかったんですよ」
佐々木敦規はこう言う。番組作りをする過程で「局員の方向性に従う」のではなく、外部の制作会社やフリーのディレクターの意見であっても、当たり前のように取り入れられた。
「ちゃんと話を聞いて、ちゃんと議論して、ちゃんと理解して、ちゃんと前に進もうとしてくれる。たとえ無茶苦茶な発想、アイデアを出しても、『おもしろくなりそうだ』と思えば一緒に実現する方法論を探してくれる。そういう人がフジテレビには多かった印象がありますね」
テレビ業界の制作スタッフはテレビ局員、制作会社、フリーで構成される。佐々木はADを経て、1992年頃からディレクター(以下、D)を任されることが増え、フジテレビでは93年、「郁恵のお料理がんばるゾ!」で初めてDとして番組制作に携わった。
フジテレビにはいろんなチャンスがあった、と佐々木は述懐する。
「“優秀なヤツ”と認めてもらえると、どんどん仕事を任せてくれたんです」
2002年、佐々木は大役を任された。当時の人気番組「新春かくし芸大会」収録の仕切り役である。
「センターフロアというポジションで、収録現場の全体を仕切る役目です。当時の『かくし芸』は植木等さんや堺正章さん、応援団にザ・ドリフターズ、司会がみのもんたさんと大御所たちが顔を揃えて、10時間に及ぶ収録をするんですよ」
プログラムに沿って、次はVTR、次は司会と応援団の絡み─と演目の指示を出す。司会がやりにくそうにしていれば、すかさずカンペを出して審査員席にコメントを求める。場を盛り上げながら、進行のかじ取りをする、極めて難しい役目だ。
「『かくし芸のセンターフロアをやった』ことは、Dとして輝かしい実績だと思いますよ。この業界に長くいても、フロア担当ができない人もいますから」
大役を無事に終えてホッとした佐々木は、顔見知りのプロデューサーに肩を叩かれた。
「『フロア、観てましたよ。よく仕切ってましたね』とねぎらってもらいました。『ありがとうございます』と言うと、『今、「とんねるずのみなさんのおかげでした」を担当してるんですけど、佐々木さんやってくれません?』と、あの人気番組に誘ってくれたんですよ」
このプロデューサーとは後年、アイドル番組「アイドル道」を一緒に作った。ここで“ももクロ”担当マネージャー・川上アキラと知り合い、「ももいろクローバーZライブの演出家」という佐々木の新たな実績にもつながっていく。
「かくし芸のセンターフロアを務めたことが、とんねるずとの縁や、ももクロのライブ演出につながった。そのプロデューサーは恩人です。ただ、制作会社のディレクターが実力を認められて、いろんな番組から声が掛かることはフジテレビでは決して珍しくなかった。僕以外にも、いろいろな外部ディレクターが番組を任されてヒットさせていましたよ」
佐々木敦規(ささき・あつのり)1967年生まれ。演出家・映像ディレクター。フィルムデザインワークス取締役。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」「IPPON GP」などのバラエティー、K-1やプロレスなど格闘技番組の演出を経て、ももクロのステージ演出を手掛ける。
取材・構成/茂田浩司(ライター&編集者)
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