芸能

来日50周年で関係者が明かす「ビートルズ」武道館ライブ熱狂の舞台裏(1)前座は前座のみの集団行動

20160707p

 その日、耳をつんざく歓声とともに、日本の音楽史が大きく変わった──。66年6月30日より3日間にわたって開催された「ザ・ビートルズ」の日本武道館公演のことである。あれから半世紀を迎え、衝撃は今なお消えない。日本人側として共演した2人が“俺だけが知る秘話”を初めて語った。

「ビートルズが羽田空港に降り立って、そこから東京ヒルトンホテルまで高速道路で移動。その間、一切の車を入れないで道を封鎖したというんだから、エリザベス女王並みの国賓待遇だったね」

 歌手の尾藤イサオ(72)は、今から50年前の驚きを昨日のことのように思い出す。62年にデビューしたザ・ビートルズは、瞬く間に世界中の若者の心をつかみ、チャートの上位を独占する。

 そして66年、ついに来日公演が決まり、会場は日本武道館と発表。武道の聖地で初めて開くロックコンサートということもあり、その警備は今では考えられないほど厳重だった。警官と機動隊員合わせて1700人、装甲車40台、ジープとパトカーを70台導入して武道館を取り囲んだ。

 尾藤は、内田裕也、ザ・ドリフターズ、ジャッキー吉川とブルー・コメッツらと「前座」を担当するメンバーに選ばれた。

「実は彼らがデビューした時、あのマッシュルームカットも曲調も甘ったるく思えて、あんまり好きじゃなかったんだ。俺は“和製エルビス・プレスリー”と呼ばれてリーゼントにしていたから、彼らはひ弱な感じに見えた」

 ビートルズの来日まで、日本の音楽シーンは「ロカビリー」が全盛を誇っていた。尾藤もその中心的な存在だったが、この年を境に勢力図が一変。ソロ歌手よりも、ビートルズに憧れたバンドが続々と誕生し、それは「グループサウンズ(GS)」というブームにつながる。

 ブルー・コメッツの若きギタリストだった三原綱木(70)は、レコード大賞に輝いた「ブルー・シャトウ」などでGSブームを牽引した1人だ。

「ブルコメとザ・スパイダースが先にデビューしていて、その頃はGSなんて言葉はなく、ビートルズの来日以降にバンドが次々とデビューしてから、そう呼ばれるようになったね」

 三原らブルコメは、尾藤のバックバンドとして武道館の前座を務める。あのビートルズの前座を務めるということに、三原は身震いがする思いだった。

「彼らと一緒にステージに上がるわけではなく、前座は前座のみの集団行動。ステージに出る時も、全ての前座が終わって楽屋に戻る時も、ビートルズの影さえも見えなかった。それでも、同じ場所にいられることはうれしかったね」

 三原は、1度もビートルズの演奏を聴くことはなかった。現在と違って楽屋にモニターもなく、前座終了後にステージに近づくことは厳禁。それでも、1カ所だけわずかな“抜け道”があったという。

「武道館のトイレの上にある小さなスピーカーから、彼らの演奏がかすかに聴こえてきたんだよ。テープレコーダーを近づけて、その音を録音したことを覚えているね」

 尾藤も出番を終えて楽屋に戻ったが、そこで異様な気配を感じた。

「楽屋に音は聴こえてこないけど、それでも、1万人の大観衆で会場が揺れていることはわかったよ」

 全てが日本で初めて味わうことだった。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身