スポーツ

夏の甲子園でスターになれなかった男たち(4)DeNA山口俊の夢を砕いた名門校の壁

20160809yamaguchi

 8月3日現在、セ・リーグ3位。チーム初となるクライマックスシリーズ進出圏内につけている横浜DeNAベイスターズ。その好調なベイスターズ投手陣でチーム2位の7勝を挙げているのが、大分県の柳ヶ浦高校出身の山口俊だ。

 山口は05年のドラフトの目玉の一人として、当時の横浜ベイスターズから1巡目指名を受け入団したのだが、最初に野球ファンにその名が広く知れ渡ったのは同年春の選抜大会だった。

 父は大相撲の元幕内力士・谷嵐。登板前に四股を踏むことがまず話題となったが、その実力も申し分なかった。なにせ柳ケ浦高校は並み居る名門校を蹴散らし、前年秋の明治神宮大会を圧勝。この選抜大会では一気に主役に祭り上げられていた。むろん、山口もエースとして圧倒的なピッチングを期待されていたのだ。

 だが、初戦の天理(奈良)戦。山口はいきなり甲子園の洗礼を浴びる。ストレートで最速151キロを記録し、観衆の度肝を抜いたものの、試合巧者の天理打線のソツのない攻撃の前に9安打を浴び、0-4でまさかの初戦敗退を喫してしまうのだ。

 この山口、じつは1年生時にも甲子園に出場している。03年夏の選手権で背番号11でベンチ入り。その出番は初戦の常総学院(茨城)戦で早くも訪れる。0-2と劣勢状態の6回裏からリリーフ登板し、2回を投げ、打者7人に対し被安打1。奪三振は0だったものの、この年の優勝チームとなる常総学院の打線を無失点に抑え、その非凡な才能の一端を示した。試合は1-2で惜敗したものの、7回表に反撃の1点をもぎ取れたのは、山口のピッチングがチームを勢いづけた結果に他ならない。

 それから2年後の05年夏、春はよもやの甲子園初戦敗退を喫したものの、大分予選では当然のように優勝候補筆頭。ところが順調に勝ち上がり、迎えた準決勝の別府青山戦。山口は先発するも途中で右ヒジ痛を発症、緊急降板してしまう。チームも延長10回の死闘の末、1-3で惜敗。

 結局、山口の甲子園登板は1年夏と3年春の二度のみ、しかもどちらも初戦敗退。常総学院、天理という甲子園の常連ともいうべき猛者の前に、山口ほどの豪腕でも甲子園で校歌を歌う夢は叶えられなかったのだ。

(高校野球評論家・上杉純也)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身
4
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
5
前世の記憶を持つ少年「僕は神風特攻隊員だった」検証番組に抱いた違和感