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Posted on 2016年10月29日 09:58

広島カープの日本一には“32年前のあの男”のような「伏兵」が不可欠!

2016年10月29日 09:58

20161029hiroshima

 1991年以来、25年ぶりの日本シリーズ進出を果たし、4度目の日本一を狙う広島カープ。日本ハムファイターズとの最終決着はマツダスタジアムに持ち越しとなったが、そんなカープが最後に日本一を飾ったのが32年前、1984年だった。

 当時のカープは強力赤ヘル打線が自慢。その中核を担っていたのが1番の「33試合連続安打の日本記録保持者」高橋慶彦、3番の「鉄人」衣笠祥雄と4番の「ミスター赤ヘル」山本浩二。今年のシリーズは広島のエルドレッド、日本ハムのレアードや大谷、いわゆる「主役」が活躍しているが、この84年は思わぬ伏兵がシリーズの流れを決めている。

 日本一の立役者となったのは5番を打っていた長嶋清幸。79年オフにドラフト外でカープに入団した23歳の若手外野手だった。83年のシーズンからは日本プロ野球史上初となる“背番号0”で公式戦に出場を果たした選手として知られている。

 それは広島市民球場で迎えた初戦だった。1-2とカープが1点のリードを許した8回裏の攻撃のこと。2アウトからランナーを1人置いて打席に入ったのが、この長嶋だった。この日の長嶋は阪急のサブマリンエース・山田久志の緩いチェンジアップ、シンカーにまったくタイミングが合わずに過去3打席ともフライに打ち取られていた。そして、この第4打席もフラフラっと詰まった当たりのレフトフライ。打ち取ったと確信した山田はマウンドを降り、三塁側ベンチへと向かい始めていた。レフトを守る福本豊がゆっくり落下点へ入る。ところが、である──。

 広島市民球場を埋め尽くしたカープファンのどよめきが沸き起こった。なんと平凡だったはずのレフトフライがライトからレフトへ吹く風に乗り、伸びてきたのだ。ついにレフトフェンスにまでよじ登った福本。その必死の姿をあざ笑うかのように打球は差し出されたグラブの先端に当たり、そのまま観客席へと飛び込んでいった。

 まさに土壇場で飛び出した値千金の起死回生逆転弾。カープは9回表の守備を守り切り、3-2で初戦を勝利し、先手を取ったのだった。

 実は阪急のエースであった山田は試合前からこの伏兵をマークしていた。それはペナントレース終盤の9月の巨人戦で西本、江川という当時の巨人の2本柱から2日連続サヨナラホームランを放っていたからだ。その勝負強さを警戒していた。この日も3打席は抑えたが、4打席目にとんでもない“落とし穴”が待っていたのである。

 この一発で勢いに乗った長嶋は7試合で3本塁打10打点の大活躍。日本シリーズMVPに輝いたのである。この年、4年ぶり3度目のシリーズ制覇を果たしたカープ。だが、このときを最後に日本一からは遠ざかっている。32年ぶりの栄冠にはやはり、伏兵の活躍が絶対に必要だ。

(野球ライター・上杉純也)

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