スポーツ

「ミスター・長嶋茂雄」を育んだ佐倉ものがたり(6)阪神の藤村富美男に憧れた

20161208k2nd

 1936年2月20日、千葉県印旛郡臼井町(のち佐倉市に編入)で、長嶋茂雄は産声を上げた。長女・春枝、長男・武彦、次女・藤枝に次ぐ四番目の末っ子だった。

 長嶋は誕生日について聞かれると、決まってジョークを飛ばす。

「生後6日目に日本中を震撼させた二・二六事件が起きるんです。あの日は、たしか雪が降っていましたよ、はい(笑)」

 2600グラムと小さかった赤ん坊は、印旛沼のほとりですくすく育つ。南風が吹くと、沼の水が北へ北へと押しやられ、土が剥き出しになり、ウナギがのたうち回った。茂雄はウナギを手づかみし、バケツに放り込む。夕飯のご馳走になったのはいうまでもない。

 剥き出しになった砂地は、陽に照らされ、自然のグラウンドになり、子供たちは三角ベースに興じた。

 反対に強い北風が吹くと、母・ちよが叫ぶ。

「茂雄、きょうは白波だ。早く帰ってこんと、波にさらわれて死んじゃうぞ!」

 好きな三角ベースができなかった茂雄は7歳上の兄・武彦と家の前でキャッチボールを始める。

 小、中学校時代の同級生、小林光男が思い出す。

「武ちゃん(武彦)が投げる速い球を、茂雄ちゃんは緑色のグラブでバシッ、バシッと受け止めました」

 茂雄にとって緑色のグラブは、父・利からプレゼントされた宝物であった。

 武彦は地元の野球チーム「ハヤテ・クラブ」の1番・レフト。チームメートの斎藤栄一によると、俊足・強肩の外野手だった。

「武ちゃんは試合や練習にいつも茂雄ちゃんを連れてきていました。茂雄ちゃんも武ちゃんにくっついて離れませんでした。武ちゃんがいなければ、茂雄ちゃんは野球選手にならなかったでしょう。茂雄ちゃんは俊敏で、目が良かった。足腰も柔らかいので、どんなゴロにも対応し、内野手向きだと思いました」

 長嶋義倫が振り返る。

「小学校の高学年になると、茂雄ちゃんと一緒に後楽園の巨人対阪神戦をよく観に行きました。京成電車で船橋まで行き、総武線に乗り換えて水道橋で降りる。電車賃は合わせて3円。内野席の入場料は大人が15円で子供が7円。茂雄ちゃんは阪神の藤村富美男(三塁手。本塁打王3回。打点王5回)の大ファンでした」

 藤村の攻守にわたるアグレッシブなプレーが好きで、自分の部屋に写真をベタベタ貼り付けていたという。のちに「ミスタージャイアンツ」と呼ばれる長嶋が、阪神びいきで、「ミスタータイガース」と称された藤村の大ファンだったというから面白い。

松下茂典(ノンフィクションライター)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    出会いのカタチもニューノーマルに!「本気で結婚したい」男がやるべきこと

    Sponsored
    168750

    「結婚はしたいけど、もう少し先でいいかな……」「自然な出会いを待っている……」と思いながらも、「実は独りが寂しい……」と感じてはいないだろうか。当然だ。だって男は弱いし、寂しがりだから。先の“言い訳”じみた考えも、寂しさの裏返しのようなもの…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    多部未華子、「行列のできる法律相談所」で見せた“顔の進化”に視聴者騒然!

    132223

    8月24日から25日にかけ放送された「24時間テレビ」(日本テレビ系)は、平均視聴率16.5%で歴代13位の好成績を記録。駅伝マラソンでの、いとうあさこのラストスパートのシーンでは瞬間最高視聴率39.0%と驚異的な数字をとり、そのまま後番組…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    過食やストレスによる“ぽっちゃり” 実は「脳疲労」が原因だった!?

    Sponsored
    157187

    「思うように外出できないし、友だちともなかなか会えない」「四六時中、家族と接していて息が詰まる」「在宅勤務だと仕事に集中できない」「残業がなく収入減で将来が不安」──会議に限らず、飲み会やデート、婚活まで、オンラインによるライフスタイルがニ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「何で独身なの?」谷原章介「めざまし8」の発言に男性視聴者が“カチン”!
2
アンゴラ村長がミニを自らめくって…出演者も慌てた突如の仰天行動
3
「シブがき隊転倒」「明菜に帰れコール」…歌番組の「放送事故」を全部バラす!
4
「辞めなきゃよかった」中居正広・米倉涼子がホンネを漏らした独立の“後悔”
5
下半身をボロン!有村昆が夢中になった「女優Tの正体」にネットが熱視線