社会

重大病が見つかるチェックリスト「夏太り」

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 記録的な暑さとなった8月もようやく終盤を迎えました。といっても、この稿を書いている時点ではまだ暑い盛りですから、まだまだ厳しい残暑が続いているのかはわかりませんが、どちらにしても、夏真っ盛りを過ぎて、ホッと気が緩んだ時、それまでの夏の疲れが一挙に出るという「夏バテ、残暑バテ」という状態もありますので、体調管理にはくれぐれもご注意ください。

「夏バテ」といえば、夏の暑さそのものによって引き起こされる従来の意味での「夏バテ」と、現代の冷房による気温の急激な変化によって引き起こされる「冷房病」の2種類があり、「冷房病」を「夏バテ」に含めて記載している人もいれば、別に分けて考えるべきという意見もある、ということを前回と前々回でお話ししました。

 このうち、冷房がない時代の従来の意味での「夏バテ」になると、体重は減ってやせてしまうのが当たり前でした。いわゆる「夏やせ」ですね。しかし、夏バテというより「冷房病」のほうが多い現代では、夏やせする人よりも、むしろ夏に太ってしまう人のほうが多く、「夏太り」として問題になっています。「夏太り」する人は、「夏やせ」する人の3倍も多い、とも言われています。

「夏やせ」はやつれて見えますから、夏バテしていることはわかりやすいのですが、「夏太り」は夏バテしているようには見えませんよね。この暑さにもかかわらず食欲旺盛でいいじゃないか、と思われがちです。しかし、実は「夏太り」している人の中でも全身の倦怠感や思考力低下、下痢、便秘、時には頭痛、発熱、めまいなど、いわゆる「夏バテ」の症状を訴える人が多く、最近ではこの「夏太り」も「夏バテ」の一環として捉える動きもあるようです。

 また、「夏やせ」は涼しくなって食欲が戻れば回復しますが、「夏太り」は涼しくなってもそのままで、慢性的な肥満につながるケースも多く、そうなると糖尿病をはじめとする生活習慣病やメタボリック症候群の温床にもなりかねませんので、注意が必要です。

 それにしても、夏はたくさん汗をかきますし、食欲も落ちるのでやせそうなものなのに、なぜ逆に太ってしまうのでしょうか。その仕組みは、夏に基礎代謝が低下していることに一因があります。

 基礎代謝は、人間が生きていくためのエネルギーです。夏はたくさん汗をかくからやせるというのは間違いで、その汗は体温調整のためにかいている汗ですから、運動してカロリーを消費している時にかく汗とは別ものです。例えば外気が低い冬なら、体温を保つためにエネルギーをたくさん使いますが、夏は外気と体温にあまり差がないので、あまりエネルギーを使いません。別の言い方をすれば、冬はできるだけ体内に熱を作ろうとして、基礎代謝が上がります。逆に、夏はなるべく産熱を抑えようとするので、基礎代謝が下がるのです。夏は5~10%も基礎代謝が低下しているとの報告もあります。

 また、夏にはチェックシート【7】のように、冷たいものをたくさん食べたり飲んだりしますが、冷たいものは甘みも油分も感じにくいことが多いので、知らない間にカロリーを過剰に摂取してしまいがちであることも原因です。さらに夏は食欲も衰えているので、野菜やお肉などを食べず、チェックシート【2】のように、ついつい食べやすい炭水化物を摂取してしまうことも背景にあります。

 ということで、あらためてチェック項目(ページ下部)を見てみましょう。【1】~【7】は全て、「夏太り」しやすい人の食生活です。朝は食欲がないので何も食べず、少し回復してきた昼も麺類など簡単なもので済ませ、そして夜になると朝昼の分も取り戻そうと一気にドカ食い。特にお酒が入ると胃酸の分泌が増えて食欲が増しますから、こってり濃い味の酒のつまみをおなかいっぱいになるまで食べてしまえば、太らないわけがありません。深夜にシメのラーメンなんか最悪ですね。思い当たる人は多いのではないでしょうか。

【9】【10】は、「夏太り」しやすい体質です。胃腸があまり丈夫でなければ、「夏やせ」しやすいです。

 こうして見ると、やはり食生活が非常に重要であることがわかりますよね。

「夏太り」を予防するためには、朝・昼・晩で規則正しい食生活を心がけ、運動などをして筋肉を炭水化物や脂質の代謝を促進するためビタミンB群を多く摂取しましょう。ビタミンB群を多く含む食品は、豚肉、ごま、玄米などです。

「夏太り」の予防には睡眠も大切です。グッスリ眠るには、体温のコントロールが鍵。体温は起きている時に高く、寝ている時に低くなるので、夕方体温を上げて、寝る頃に体温を下げると、グッスリ眠れるようになります。私のおすすめは、「睡眠障害」の回で紹介した「3・2・1方法」ですが、覚えていますか?寝る3時間前にキムチや唐辛子などカプサイシンを含むものを食べて体温を上げ、寝る2時間前にストレッチをすると、一時的に体温は上がりますが、2時間後に放熱するため体温が下がり、眠くなります(激しい運動は交感神経が高まり逆効果)。そして寝る1時間前にぬるめのお風呂(38度がおすすめ。熱めはダメ)に入ると、交感神経の高ぶりを抑え、入眠を促します。シャワーではなく、お風呂につかり、体を温めるのがポイントです。

 お酒も体を温めますが、睡眠にはあまりよくありません。アルコールを飲むと、いったん体温が上がり、そのあと下がるので、寝つきはよくなります。しかし、摂取して3時間ほどたつと、アセトアルデヒドという毒に変わり、これが交感神経を刺激するため、眠りが浅くなり、すぐ目を覚まします。寝酒は睡眠の質を落とすと心得てください。

 その他、寝る1時間前からは部屋を間接照明にして、強い光を浴びないようにする(夜9時を過ぎると睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が始まるため)、寝る前はパソコンやスマホの画面を見ない(電子機器の画面から出る「ブルーライト」がメラトニンを減少させるため)、といったことに気をつけ、静かな音楽やハーブティなども利用し、質の高い睡眠をしっかりとって、まだまだ続く残暑を乗り切りましょう。

──夏太りチェック項目──

【1】朝食を食べない

【2】昼食は冷やし中華やソバなど、麺類で済ませることが多い

【3】夜、涼しくなってくると食欲が出て、つい食べ過ぎてしまう

【4】ビールやお酒が入ると食欲が出て、つまみを腹いっぱいになるまで食べ続ける

【5】脂っこいものや味が濃いものが好きだ

【6】シメのラーメンがやめられない

【7】暑いからとアイスやかき氷など、冷たいものばかり食べている

【8】入浴は湯船につからず、シャワーだけで済ませることが多い

【9】もともと太り気味である

【10】胃腸は丈夫なほうだと思う

※3つ以上当てはまれば、「夏太り」になる可能性が高いです

◆監修 森田豊(もりた・ゆたか) 医師・医療ジャーナリスト・医学博士。レギュラー番組「バイキング」(フジテレビ系)など多数。ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修も務めた。

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