芸能

萩本欽一「坂上二郎さんから運命の日の電話」(1)

 昔、堀ちえみちゃんから、

「萩本さんと『コント55号』って何か関係があるんですか?」

 と聞かれたことがありました。

「テレビを観てたら萩本さんが映ってて、その下に『コント55号』っていうテロップがあったんですよ」

「コント55号」の結成は1966年(昭和41年)で、ちえみちゃんが1歳の時です。覚えてませんよね。

 僕と坂上二郎さん(2011年死去・享年77)とのコンビ「コント55号」。

 二郎さんとの出会いは、結成4年前の62年(昭和37年)でした。

 僕は高校を出ると、浅草の「東洋劇場」で、東八郎さんの弟子として芸人修業を始めました。

 結局、「東洋劇場」には2年3カ月いて、その後、「地方での仕事はいい腕試しになるぞ」と先輩芸人から勧められ、1年間のドサ回りに出ます。

 踊り子さんのショーの合間に1人コントをやるんですが、お客さんはヌードを観に来ているわけで僕なんかお呼びじゃありません。

「男を観に来たんじゃないんだ、引っ込んでろ!」

 ヤジが飛びます。

「ダメなの!」

「何でだよ!」

「これをやらないと、ギャラの800円がもらえないの!」

 客席はバカウケで、このドサ回りでずいぶんと舞台度胸がつきました。

 1年後、浅草に戻ると「東洋劇場」の支配人が、

「お前もドサ回りで一人前になっただろう。『フランス座』へ行って来い」

 と言います。

「東洋劇場」と「フランス座」は同じ建物の1階と2階にあり、「フランス座」に出向して芝居をしろというわけです。

 二郎さんはそのフランス座にいて、リーダー格の芸人でした。

 芸人さんたちのチームワークがしっかりとできているところに、よそ者の僕が入っていったわけですから、「よけいな者が来やがって!」と、誰も口を利いてくれません。

 舞台の上でも、突然、台本にもないセリフを言われたりとか、ずいぶんといじめられました。

 その中でも、いちばんヒドイ目にあわされたのが二郎さんです。涙が出るほど悔しくて、ムキになってやり返しました。

 セリフの終わった二郎さんが舞台から去ろうとすると、

「ちょっと待った!」

 僕がアドリブで絡んでいきます。二郎さんも、

「この野郎!」

 と、絡んできます。

 30分近くやり合ったこともありました。お客さんにはバカウケでしたが、お互いに「この野郎!」と思っていて、楽屋では口を利くこともなかったし、「フランス座」の興行が終わると、二郎さんとのつきあいは完全になくなりました。

カテゴリー: 芸能   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治が「可能性はゼロ」と断言する前田健太の「広島復帰」と「黒田博樹の男気継承」
2
巨人・高梨雄平「報復死球騒ぎ」で阪神ファンに蘇った「近本骨折⇒ないぴ投稿」の怒り
3
中田英寿のゴルフは常識外れ「ドライバーは使わない」「スコアを数えない」その理由を尋ねると…
4
【日本ハム】「魚雷バットで本塁打」清宮幸太郎に苦言の新庄剛志監督「よくない打ち方」ナットク打撃論
5
ヤクルト・奥川恭伸の右ヒジは2軍調整で戻るのか…痛恨の「選択ミス」と周囲に打ち明けた「悩み」