芸能

元日テレ・敏腕プロデューサーが明かす「3年連続視聴率3冠の秘密」(6)「なくなればフジの大打撃」

20161110m2nd

「ZIP!」成功のもう一つの理由は「めざまし」を研究する一方で、徳光和夫(75)、福留功男(74)、福澤朗(53)、羽鳥慎一(45)と続いた、看板男性アナを前面に立てる「ズームイン」スタイルと上手に決別できたことだとも言えよう。

 この「切り替え力」と「ブレない持続力」が日本テレビの強さの一つなのだ。

 私が担当した「ヒルナンデス!」にしても同様である。

 87年10月5日から07年9月28日まで続いた「午後は○○おもいッきりテレビ」は、2代目司会のみのもんた(72)が、高齢女性を「お嬢さん」と呼び高視聴率となった。その系譜の「おもいッきりイイ!!テレビ」(07年10月1日~09年3月27日)などの番組も流れを引き継いで、高齢女性に支えられていた番組であった。

 しかし「笑点」同様に高齢層が見ているだけでは、CMが高く売れない現実があったのだ。

 そこで若い主婦層に見てもらう番組として、11年3月28日から「ヒルナンデス!」がスタートしたのである。目標は「笑っていいとも!」(フジ系)を倒すことだ。

 だがグルメやファッション中心の番組である「ヒルナンデス!」が、「おもいッきり」を見ていた層に受け入れられるわけもなく、従来の視聴者は一気に離れてしまい、低空飛行となった。

 苦しい時期だったが「自分たちのやっていることは間違いではない」と信じて、方向性は維持しながら、さまざまな企画を試行錯誤した。同時に意識したのは、「楽しみながら」番組を作ることだった。

 通常なら1年で打ち切りとなってもしかたない視聴率だったが、日本テレビは「続行」を判断。当時の上層部は、

「可能性のある番組だから続ける」

 と言い、さらに、

「何としても『いいとも!』を倒せ。『いいとも!』はただの番組ではない、なくなればフジテレビにとって大打撃だから」

 と、強力にバックアップしてくれたのである。

 やがて視聴率は上向き始め、アシスタントを務める水卜麻美アナ(29)の人気上昇などもあって「いいとも!」から女性視聴者を奪っていくことに成功する。

 番組開始から3年、ついに「笑っていいとも!」は放送終了となった。

 あの時、1年で番組が打ち切りになっていたら「いいとも!」はまだ続いていたかもしれないのである。

「おもいッきり」からの切り替えと、続行する決断の勝利と言っていいだろう。

村上和彦:(株)プラチナクリエイツ代表。65年生まれ、神奈川県小田原市出身。元日本テレビ放送網制作局専門部長兼演出家・テレビプロデューサー。「ヒルナンデス!」を立ち上げ、「『笑っていいとも!』を終了させた男」として知られる。「スッキリ!!」の視聴率アップや、「24時間テレビ」ほかを総合演出。14年に日本テレビを退職し、フリーランスに転向。現在もテレビ東京「モーニングチャージ」監修ほか番組制作を行っている。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
2
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
3
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
4
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか
5
ボクシング・フェザー級「井上尚弥2世」体重超過の大失態に「ライセンスを停止せよ」