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記事全文を読む→各界「伝説の師弟」(1)芸能界、大物たちの絆
「体罰」「かわいがり」。そんなネガティブな言葉で語られることが多い昨今の上下関係。しかし、本来は熱い信頼で結ばれるのが「師弟」というもの。時代は「キズナ」だ。知る人ぞ知る、著名人たちの語りたくなる「師弟愛」をお届けしよう。
芸能界にはひと言では語り尽くせない、大物たちの熱い師弟伝説がある。そのいくつかを紹介しよう。
高倉健は千葉真一が売れる前からかわいがっていた。千葉がテレビの「七色仮面」の主役に抜擢された時、まだ日体大の学生服で撮影所に通っていた千葉に対し、「社会人なのだから、社会人らしい格好をしろ」と、まだ新品同様だった自分の背広をプレゼント。千葉は「永遠の師匠」と語る、健さんのこの背広をボロボロになった現在でも保管している。
「その当時、千葉が撮影進行を巡って東映労組の幹部と衝突し、会社を辞めさせられそうになった時、千葉の『辞めたくない』という意思を聞いた健さんが『よし、一緒に謝りに行こう』と撮影所中を回ってくれた。そして、ポツリと『オレも同じ立場だったら同じことをしたよ』と。千葉は感激し、売れたあとも撮影がない時は健さんの付き人をしたんです」(ベテラン映画記者)
健さんに続いては、勝新の師弟愛。バイトしながら芝居のレッスンを受けていた松平健は、21歳の時、勝新太郎から突然「京都に来い」と呼び出しを受け、カメラテストをした。
そして「お前の目が気に入った。目は化粧できねぇからな」と言われ、勝の付き人になる。しかし、「オレのマネをしろ。タイプが違うから、マネをしても大丈夫だ」と言うだけ。それが約3年続いたのだ。
その後、事件は起こる。
「ドラマ『座頭市』の制作発表で突然、勝が『松平!お前はオレだけ見ていればいいんだ!』とどなりつけた。実はあれは意図的に記者に松平の名を売り込むためにやった演出。実際、あの時、初めて松平健の名前を知った記者も多かったんです」(芸能記者)
そのかいあって、松平は76年に昼ドラ「人間の條件」で主人公を演じた。その時の勝の言葉が「主役でない仕事には出るな」というもの。その直後、松平は「暴れん坊将軍」の主役に抜擢される。
「暴れん坊──」のヒット後、松平が役者仲間と居酒屋で飲んでいると聞いた勝は、
「将軍役なのだから、もっといいところで遊べ。安い店に行くとそれが演技にも出る」
と叱責した。その教えを守って、松平は20~30代は高級クラブで遊びまくった。借金も作った。教えどおり、勝新太郎の生き様もマネたわけだ。
バラエティの世界にも伝説の師弟関係がある。車のセールスマンから植木等の付き人兼運転手になった小松政夫は、4年近く行動を共にした。
植木のあの「お呼びでない?」のギャグは「シャボン玉ホリデー」で小松が植木の出番ではないのに勘違いして「出番です」と言ってしまい、カメラの前に出た植木がアドリブを放ったら、これがウケて、以後使われるようになったと言われている。植木も「小松が間違えて、あのギャグが生まれた」と触れ回った。
しかし、小松は「アレは私を売り出すために作ってくれたエピソードなんです」と、のちに語っている。
「ある時、運転中の小松に植木が顔を近づけ『お前は明日からタレントだ。もう来なくていいよ』と言うと、小松は涙がこぼれて運転できなくなった。植木は小松が泣きやむまで待って『急いでないけど、そろそろ行くかぁ』と」(制作会社幹部)
トリは松田優作のキズナ。石橋凌のバンド「ARB」は方向性の違いから分裂。売れないイラダチもあり、20代前半は飲むと必ず暴れた。そんな時、新宿のジムで松田優作と出会う。その後、原田芳雄宅の忘年会で再会し、悩みをぶつけた。
優作は「表現というのは、毎年土を耕して種をまき、水をやって大事に育むしかない。今までやってきたことを続けていれば、必ず誰かが見ている」と。その半月後、優作主演・監督の映画「ア・ホーマンス」に参加。以後、飲みに誘われるようになる。
優作宅で飲んでいた時、「ところでお前、今後、どうする?」と聞かれて「もう1回、バンドを立て直して」と答えると、「俳優という仕事を前向きに考えたらどうなんだ!」と一喝された。帰り際、玄関で握手しながら、笑顔で「頑張れよ」と優作。2カ月後の89年11月6日に彼の悲報を聞く‥‥。
自分なりに遺志を継げないかと考えた石橋は音楽活動を一時封印、俳優をやっていく決心をしたのだ。
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