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プロ野球に「投手分業制」を最初に持ち込んだ名将の深イイ話

 日本に投手分業制を持ち込んだのは、中日や巨人でプレーし中日、大洋、日本ハムでは監督を務め、06年に亡くなった近藤貞雄さんである。50年以上も前に「肩は消耗品」の考え方に基づき、投手分業制という手法を日本に広げた先駆者だ。

 先般、元巨人の上原浩治氏と元阪神の藤川球児氏の名球会入りが、特例で決まった。別に「球界の球児浩治」という漫才コンビを作りたかったわけではないが、画期的な決断だろう。

 現在の名球会への入会資格は、昭和生まれ以降で、野手は2000安打以上、投手では通算200勝利以上もしくは通算250セーブ以上だ。上原氏は日米通算134勝、128セーブ、104ホールド。藤川氏は日米通算61勝、245セーブ、164ホールドで、資格を満たしていなかった。

 だが理事会の推薦を受け、会員の4分の3以上の賛成が得られたため、特例枠として会員になったのだ。

 両氏を含めた会員は65人で、そのうち投手はわずか17人しかいない。名球会が誕生した時代とは違って投手分業制が進んでおり、今後、投手では特例枠で名球会入りする選手が増えていくだろう。

 現在はメジャーリーグだけでなく日本球界でも分業が主流となっているが、昔は先発完投どころか、連投も当たり前だった。横浜や中日で監督を務めた権藤博さんなどはルーキーイヤーの1961年に、チーム試合数130の半分以上の69試合に登板して429回1/3を投げ、35勝している。そんな無理がたたって肩、ヒジを壊し、65年に打者への転向を余儀なくされた。

 かつて近藤さんは、次のように話していた。

「(1996年)フロリダの教育リーグに行った際、現地のコーチから『投手の肩は消耗品』という話を聞いた。日本流の投げ込みや登板過多は、確実に投手生命を縮めると思った。だから日本で最初に投手分業制を導入した」

 今は草葉の陰で、先見の明があったと喜んでいるかもしれない。

(阿部勝彦)

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