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テリー この映画は、悪人が出てこないよね。噺家修業を諦めて深川の長屋にたどりついた男が、ひょんなことから子供に落語を教えていくという‥‥。撮影はどのくらいの時間がかかったの?
たい平 3カ月くらいですね。
テリー ずいぶん長いね。
たい平 江東区の「深川江戸資料館」という場所を、休館日だけお借りしていたんです。だから、1カ月に3回ぐらいしか撮影日が取れないんです。
テリー えっ、じゃあ映画のシーンは、セットじゃないんだ。
たい平 はい。全部、資料館の中なんです。正直すごく狭いんですよ。
テリー でも、江戸時代の三軒長屋なら、きっとその狭さがリアルだよね。
たい平 そうなんです。だから、狭いっていうことは現代だとマイナスイメージで考えられてますけど、僕は「狭い=幸せの広さ」だな、と思いましたね。
テリー うまいねえ。「狭い=幸せの広さ」‥‥これ、飲み屋で使おうと思ってるだろ。
たい平 ハハハハ。でも、本当にそう思ったんです。広い家に住んで、子供が何をしているかわからないっていうんじゃなくて、家が狭いと、否応なしに子供の表情、親の表情を見ざるをえない。川の字で寝ていたら、子供の具合が悪くなったらすぐわかる。そういう狭さから来る人間同士の交流みたいなものも、作品にはしっかりと写り込んでいるなと思いました。
テリー 本編が終わったあと、師匠が落語の「藪入り」を一つやりますよね。これって、落語とは何かを知ったあとに、本当に落語を実際に楽しめる作りになっていて、すごくうまいよねぇ。
たい平 テリーさんにそう言っていただけるとうれしいです。落語をたくさんの人に見てもらえればいいなと思って作った映画ですけど、もっと大きいことを言えば、「生の出会いの大切さ」みたいなのを伝えたかったんですよね。
テリー というのは?
たい平 今はどんどん「個の時代」になっていますよね。例えば、フェイスブックの中、インターネットの中で人と人はつながっているように見えるけど、本当につながっていると言えるのか。こうしてテリーさんと実際にお会いすると、ドキドキするじゃないですか。
テリー ふだんは、お姉ちゃんと会ってドキドキしているんでしょう(笑)。
たい平 いやいや。最近はめっきりですよ(笑)。
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