社会
Posted on 2014年11月01日 09:56

「政界“怪”人プロファイリング」 -石破茂-

2014年11月01日 09:56

20141106b

◆今週のキーマン:石破茂〈いしば・しげる〉(地方創生担当相)●57年生まれ、鳥取県出身。慶応大学法学部卒。93年、自民党を離党し新進党結党に参加した後、96年に復党。防衛相、農水相、自民党幹事長を経て現役職に。

一から出直しの「戦略なき軍事オタク」

 安倍晋三総理にハメられ「座敷牢」に閉じ込められた石破茂氏が焦りまくっている。来年9月の自民党総裁選で安倍総理の対抗馬たるには、この臨時国会からわずか1年足らずの間に、経済を中心とした地方活性化に具体的道筋をつけなければならないからだ。成果出ずとなれば、総裁選出馬の資格を失うことになる。

 しかし、ここまで国が放置しっ放しだった疲弊し尽くした地方を、取って付けたような政策で短期間に‥‥など至難のワザ。石破氏が成果を上げることが難しい理由には、大きく次のようなものがある。

 まず、組織上の問題が立ちはだかる。地方創生担当相は内閣府の一特命大臣にすぎない。同府内に置かれた、司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」なるものは、省庁のバックグラウンドを持たぬ「浮き草本部」である。各省庁から出向の専従職員も約90人。この少ない人員に、新任大臣は予算獲得のハッパをかけている。しかも、要求予算には有効需要を作りにくい旧来型の公共事業も多々入りそうで、各省庁と予算ブン捕り合戦の「戦場」と化す可能性が高い。

 また一方で、自民党に総裁直属機関の「地方創生実行統合本部」なるものが新設された。その本部長に安倍総理側近の一人、河村建夫前選対委員長が充てられている。これは「石破氏の好きなようにはさせないぞ」という党の意思表示であり、安倍総理のニラミが利くシステムになっているのだ。すなわち石破氏の権限は、相当縛りがかかったものになる。さらに、安倍総理の円安誘導政策は明らかに地方経済再生とは逆行するという「ブレーキ」まで‥‥。

 これでは石破氏は「無手勝流」で成果を上げろということになる。現時点で国としての再生への具体論は何ひとつない中、石破氏は「地方も(活性化への)知恵を出せ」などと叫んでいるが、国が全面的な構想力を持たなくてどうするのか。なんともオソマツ、寂しい話である。地方活性化は、かの田中角栄元総理が都市と地方の格差是正に死力を尽くした「日本列島改造計画」の続編くらいの勢いで、政府・与党一丸となってやらねばできるものではない。かくて石破氏の成果は多く期待できず、その失望は限りなく大きいものになるということである。

 石破氏は今回の改造人事で二転三転のあげく、約30人のグループ側近らの「入閣せず『主戦論』で望むべし」との声を押し切り、結局は入閣してしまった。そのため、今後の戦略基盤となるグループの結束力も落ちた。また石破氏は、93年の細川連立政権発足で、野党に転落した一番苦しい時に、さっさと自民党を離党してしまった経緯がある。一度党を離れて復党、天下=総理のイスを取った人物は自民党には一人もいない。

 別称「軍事オタク」の石破氏。天下取りの戦略は全く見えてこない。タマを撃つ時は照準を定めなければならないが、あさっての方へタマを撃っているようでは、とても天下は取れそうにないのだ。

 組閣直後の世論調査では、新閣僚の人気ナンバーワンではあったが、これが「バブル」だったのかどうか、真価が問われる。まずは一から出直しである。

◆政治評論家・小林吉弥

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