「先週の阪神ジュベナイルフィリーズと同じで、過去の好走データは鵜呑みにしないほうがいいでしょう」
京都競馬場の最後の直線、内で必死に追われる先行馬をヨソに、大外に持ち出したアルマヴェローチェとビップデイジーが追い込んでワンツーフィニッシュ。それが阪神JFだった。馬券師ライターT氏が今週のメインレース「朝日杯フューチュリティステークス」について語ったのが、冒頭の言葉である。
阪神競馬場の改修による代替開催のため、10週連続で使われていた京都の芝は、内側がボコボコ状態。T氏は11月に行われたマイルCSと同じように、大外を通った馬の追い込みが決まると断言する。事実、阪神JFはそうなった。
「アルマヴェローチェとビップデイジーは買いましたが、軸にしなかったので残念ながら馬券は外れでした。しかし案の定、1番人気のブラウンラチェットは大凡走。レース展開と激走馬のタイプはぴったり当たったので、今週に生かすべきですね」
転んでもただでは起きないとばかりにT氏はそう語ったが、実際に今週の朝日杯FSは、前週と同じ方法で「勝てる」と豪語する。
「京都芝1600メートルは坂の下りから平坦の直線コースになだれ込むことから、阪神に比べてスタミナよりもスピード重視。来年のクラシックで活躍する馬を見つけるというより、今後もマイル路線で活躍しそうな馬を買うべきです。3年前にドウデュースが勝った朝日杯FSとは別物と考えた方がいいでしょう。1、2番人気予想はC・デムーロ騎乗で人気が盛られるミュージアムマイルと武豊騎手のアルテヴェローチェですか…。ミュージアムマイルは1800、2000と距離を伸ばして連勝中。明らかに京都のマイルが主戦場ではない馬で、先週のブラウンラチェットと同じ匂いがする。真っ先に消せる人気馬ですね」
前週は、京都のマイルGⅠはキングカメハメハの血が断然だとして2着のビップデイジーを挙げたT氏だが、今週も「同じと考えていい」と言う。
「キングカメハメハと考えると、簡単です。ルメール騎乗のアルレッキーノのほぼ一択ですから。ただし先行馬だけに、経済コース(インコース)を欲張らず直線で外を通ることが条件ですが、ルメール騎手ならそのあたりは承知でしょう。軸の1頭に据えるべきですね」
まず1頭は決まった。だが、キャリアの浅い2歳馬だけに、出走する16頭から馬券になる馬を探し切るのは困難な作業と思われる。T氏が続ける。
「キャリアが浅いだけに、経験値が重要。他場の経験しかない人気馬は疑ってかかり、この段階で京都1600メートルが得意だと判断できる馬を買えばいい。京都マイルで初勝利したばかりのアドマイヤズーム、デビュー戦で同コースを上がり最速で勝っているトータルクラリティは外せない。この2頭は外に回して追い込んでくるタイプです。さらに、全く人気のないドラゴンブースト(事前予想オッズ11番人気)は同条件のデイリー杯2歳Sで2着、しかも京都マイルで連続連対している。阪神JF3着のテリオスララと同じスクリーンヒーローが父というのは、流れ的に絶対に買いです。冬場に強い父ですしね。馬券に絡めば余裕で3連単10万円超えでしょう。この3頭にアルレッキーノを加えた四つ巴と考えていい」
2番人気予想のアルテヴェローチェについては、
「2連勝中ですが、どちらも辛勝。初の京都で走るかもしれないし、走らないかもしれない。ならば、買っても押さえでいい、というタイプ」(T氏)
次週「有馬記念」の前に行われる露払い的な2歳GⅠだが、前週のリベンジ場としては最適。高配当を見込める「四つ巴3連単」でガッチリ決めたい。
(宮村仁)