GⅠ戦線真っ盛りの5月4日、京都競馬場で天皇賞・春が行われる。
同じ舞台の菊花賞同様、スタミナ勝負の一戦で、これまであまり経験のない長丁場での戦いだけに、予想外の結果をみることが、ままある。世界的には、こうしたスタミナを要する競馬を勝っても評価されることは少ない。種牡馬になるためには、その馬の持つスピードがモノを言い、いい意味で産駒に受け継がれるからだ。
しかし日本では、この伝統ある一戦は、それなりの大きな評価を得ている。血統がモノを言うレースであり、やはりスタミナの有無は、その子供に間違いなく伝わるわけで、決して軽んじてはいけない。実績ある超一流馬や一線級の馬は、2000〜2400メートルのGⅠ戦に目を向けるが、今年もスタミナ自慢が出そろい、見応えあるレースが楽しめそうだ。
まずは顔ぶれを見てみよう。前哨戦の阪神大賞典を圧勝して意気上がるサンライズアース、長丁場で善戦を続けるショウナンラプンタ、サウジに遠征して3000重賞を制したビザンチンドリーム、昨年の宝塚記念の覇者ブローザホーン、ダイヤモンドSを完勝した菊花賞2着馬ヘデントール、前哨戦の日経賞を勝ったマイネルエンペラーなど、多彩な顔ぶれで役者ぞろい。馬券的にもおもしろ味十分なGⅠ戦と言っていいだろう。
過去のデータをひもとくと、03年に馬単が導入されて以降の22年間、その馬単での万馬券は7回(馬連は6回)。この間、1番人気馬は6勝(2着3回)。2番人気馬は8勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。ここ8年は馬単万馬券が出ていないように、堅く収まる時と荒れる時がはっきりしているものの、それでも中穴傾向のGⅠ戦ととらえてよさそうだ。
年齢的には他のGⅠ戦と同様、4、5歳馬の活躍が目立っているが、過去22年間で4勝(2着6回)を挙げている6歳勢は、出走頭数の比較からしてよく頑張っており、軽視は禁物である。
もろもろ考慮したうえで、最も期待を寄せてみたいのは、シュヴァリエローズだ。
7歳馬なのでデータには反するが、おもしろいのは、昨年2月の京都記念以降、2200メートル以上の距離を使い始めてから、成績がグンとよくなったこと。父はディープインパクトで万能型だが、スタミナ色が濃い母系の影響が強く出ているのだろう。
前走の日経賞は12着に敗れたが、放牧明けで4カ月ぶりの実戦がこたえたもの。落ち着きを欠いていたことを思うと、本来の姿になかったことは明らかである。それでも勝ち馬との差はコンマ5秒。しかも休み明けを一度使われたことで、この中間は大幅に良化しており、実にいい雰囲気である。
「心身ともたくましくなって、走れる態勢にある。2勝を挙げている相性のいいコース。変わり身があってもいい」と、清水久調教師をはじめ、厩舎関係者が口をそろえるところ。
2走前に3600メートルのステイヤーズSを制しているように、スタミナの心配はまったくない。巻き返しは十分可能だ。