敵は「身内」にありか。ドジャース・大谷翔平に思わぬライバルが出現している。
今季中の二刀流復活を目指す大谷は、打撃に専念した昨シーズンに比べ、最終的に「打撃成績は若干、落ちるかもしれない」と現地報道されている。そんな大谷について、
「この部門は独壇場のはず、とされているタイトルがある。それはシルバースラッガー賞です」
と語るのは、メジャーリーグを取材するスポーツジャーナリストである。
これは各ポジションごとに、最も優れた打者に送られるもので、日本人で受賞歴があるのは大谷とイチローの2人のみ。大谷はエンゼルス時代の2021年と2023年のアメリカン・リーグで同賞を受賞。ドジャースに移籍した2024年には50本塁打50盗塁を達成して、ナショナル・リーグでも受賞している。イチローも2度の受賞歴があるが、あの松井秀喜さえも手が届かなかったタイトルなのだ。
大谷の思わぬライバルというのは、この賞をめぐって浮上している日本人野手、すなわちカブスの鈴木誠也なのである。
鈴木はパイレーツ戦で、昨年の新人王で怪物といわれるポール・スキーンズから本塁打を放つなど、GWに入った時点で打率、打点、盗塁、OPS全ての部門で2年連続MVPの大谷を凌駕する成績だった。
「まだまだシーズンは始まったばかりですが、地元シカゴでは大谷と同じ日本人で、同じDHということもあり、盛り上がっている。『今季のDHのシルバースラッガー賞は大谷ではなく、セイヤ』との声が高まっていますね」(前出・スポーツジャーナリスト)
大谷もイチローも左打者。右打者の日本人メジャーリーガーが受賞すれば、史上初の快挙となる。大谷も同学年で仲が良い鈴木に足元をすくわれないため、ここからどんな成績を残していくのか。新ライバルの熾烈なバトルの行方は…。
(阿部勝彦)