先場所の9勝6敗で、今場所の大関取りは最初からやり直しとみられていた関脇・大栄翔。ところが初日から5連勝と絶好調で、どうなるかわからなくなってきた。
大関昇進は3場所で通算33勝が目安とされている。できれば毎場所、二桁勝利がいいとされているが、それはケースバイケースだ。大栄翔は三役在位が長い上、優勝経験もある。
「優勝戦線に絡んで12勝から13勝すれば、大関に昇進させると思いますよ」(相撲ライター)
とりわけ5日目の王鵬戦は素晴らしかった。この相撲ライターが振り返る。
「両者とも押し相撲ですが、王鵬に見舞った激しいぶちかましと突き押しは、2人の押し相撲の格の違いを感じさせました。1横綱1大関を撃破した、あの腰の重い王鵬の上体を簡単に起こしてしまったんですから」
八角理事長はこう言っている。
「勝っていると、押し相撲は良くなってくる」
これで楽しみになってきたのは琴桜、大の里の大関陣と横綱・豊昇龍との対戦である。
「これまで大の里は、大栄翔を圧倒してきた。ところが昨年の九州場所、立ち合いの踏み込みの甘さにつけ込んだ大栄翔が、逆に大の里を圧倒。理事長が指摘するように、大栄翔の相撲がさらによくなってくると、両者の対戦結果はどうなるかわからない。少なくとも大関、横綱のひとりは破るのではないか」(前出・相撲ライター)
夏場所の後半戦はどんどん面白くなっていく。
(蓮見茂)