ドラッグストアなどで手軽に購入できるカゼ薬とは異なり、医師の診断に基づいて処方される「医療用医薬品」。毎月のように診察を受けて薬を処方してもらっている人にとっては、かなりの出費となるが─。
00年前後から黒柳徹子や高橋英樹のCMが盛んに放送されたことで広く知れ渡った「ジェネリック医薬品」。厚生労働省の許可を得て製造販売されており、新薬と同じ有効成分や効き目があるのに、新薬よりも4割から5割程度安く購入できることをご存じの方も多いだろう。
中でも糖尿病や高血圧症といった生活習慣病で、長期間にわたって薬を服用している人にとっては、節約効果は絶大である。薬をもらう時に「ジェネリックで」と伝えるだけでよく、最近では薬剤師に伝わりやすいようにお薬手帳に貼る「ジェネリック希望シール」などもある。
このようにジェネリック医薬品は“節約の代表格”とも言えるが、「山王ウィメンズ&キッズクリニック大森」の高橋怜奈院長は、さらなる裏技をこっそりと教えてくれた。
「実は、薬は種類によって価格が全然違うんです。新しい薬は古い薬に比べると高価な傾向にあります。例えば低用量ピルは安くて1カ月分が400円、高くて2500円と振り幅が大きいですね。薬は『古いから効かない』なんてことはありません。昔からあるロキソニンなどの痛み止めはすごく安くて、1錠あたり数円程度です。なので、あらかじめ医師に『なるべく安い薬がいい』と希望を伝えることで、それに沿った処方箋を出してくれるはずです」
また、同じ処方箋でも、持ち込む薬局によって薬代が増減する。
「調剤薬局は、それぞれの区分により調剤基本料が異なります。安い順に並べると①病院で会計時に薬も出してくれる院内薬局。②病院のすぐ前や横にある門前薬局。③大手ドラッグストアの調剤コーナー(一部、②より安い場合もある)。④街中の個人薬局になります。どこに処方箋を持ち込んでも同じ薬がもらえますので、院内薬局や門前薬局で処方されたら、節約できたと思っていいと思いますよ」(節約アドバイザー・和田由貴氏)
ちなみに、薬局も病院と同様に「時間外加算」がある。薬局によっても異なるが、だいたい午前6時~8時、午後6時~10時だ。よく利用する薬局であれば、そのあたりも調べておいて損はないだろう。
処方箋でもう1つ。22年4月から導入されている「リフィル処方箋」をご存じだろうか。医療関係者が解説する。
「患者さんの状態が安定している場合に限り、医師と薬剤師の連携のもと、一定期間内に最大3回まで利用できる処方箋です。通常は薬が切れる頃になると病院で診察を受けて、いつもと同じ処方箋を出してもらって、薬局で薬を購入する。これを毎月のように繰り返している人が多いと思います。それがリフィル処方箋だと1度診察を受けたら、あとの2回は直接薬局に行って薬を買うことができる。つまり、診察代が2回分浮くというわけです」
しかも、診察代が浮くだけではないという。地方には病院に行くためにバスやタクシーを利用し、長時間かけて移動せざるをえない高齢者が大勢いる。
「そうした移動にかかる時間も交通費も抑えられるのです。受診回数が減ることで、さまざまな負担軽減につながる制度というわけです」(前出・和田氏)
時間や交通費の節約という点では「オンライン診療」も有効だ。
「病院に行って、他の病気に感染してしまうということもありえます。オンライン診療なら、その感染が防げて、結果的に医療費の節約にもなります」(前・和田氏)
5月14日には市販薬の販売制度を見直す「医薬品医療機器等法」などの改正法が参院本会議で成立した。これにより近い将来、薬剤師らの指導をオンラインで受けることを条件に、コンビニでも薬を購入可能な時代が訪れそう。利便性がよくなることで、各種費用も安くなるのだ。