6月3日に世を去ったミスタープロ野球は、海外でもとんでもないエピソードを残していた。
昭和58年(1983年)のメジャーリーグ・ワールドシリーズは、オリオールズVSフィリーズだった。巨人の監督を退任し、「浪人中」の身だったミスターは、テレビ解説のため、アメリカへと飛んだ。
解説を終えて帰国する際、ミスターはニューヨークに立ち寄った。CM出演していたスポンサーと、現地でゴルフをやろうとなったのだ。しかしミスターにはゴルフシューズがない。そこで翌日、現地のデパートに買いに行こうとなった。
デパートでミスターは3000ドル(当時1ドル260円だから、78万円)の靴を見て「あれが欲しい」と言う。カンガルーの皮を使った最高級品だった。
しかし、さすがに高価である。ミスターは「ウーン」とうなってひと回り、ふた回り…して3時間。
迷ったあげく、結局、買わなかった。監督時とはまるで違う、どうにも決断できない優柔不断な一面を見せたのである。
では、どうしたか。翌日、ミスターは日本から持ってきていたボロ靴を履いていた。
余談になるが、実はこの渡米時、なんとも言いようがない「事件」も起きていた。
現地のホテルに宿泊したミスターが、同行していたとある報道関係者に言った。
「ホテルの部屋に来ていいよ」
せっかくなので訪ねてみたところ、ミスターはシャワー中。床にはパンツが脱ぎ捨ててあった。この報道関係者が振り返って言う。
「それを見ると、パンツに茶色いモノがついていた。なんとも言えない気持ちになりましたね」
豪快なのか大雑把なのか…。
(大田了)