スポーツ

“甲子園スター”たちの流転人生!「川口知哉・辻内崇伸」

20150820h_2

 一方、97年、春と夏の甲子園に出場。当時、4番でエースの「ビッグマウス」は京都の名門、平安高校のドクターKと呼ばれた。

「完全試合を達成します」

 報道陣を前にこう言い放った川口知哉氏(35)は、140キロ台の直球と落差あるカーブで三振の山を築いた左腕で、大会NO1投手との呼び声も高かった。ドラフト会議では4球団による1位指名競合の末、オリックスに入団。だが、甲子園での名声はプロでは鳴りを潜めた。

 不運だったのは、コーチによる投球フォームの変更。一度も満足できる投球ができないまま、04年オフに戦力外通告されてしまう。

 その川口氏がメディアの前に再び登場するのは09年。日本女子プロ野球リーグ(JWBL)に所属する「京都アストドリームス」(現・京都フローラ)の投手コーチに就任してからだ。オリックスを退団してから6年が経過していた。

 川口氏が告白する。

「女子なんでパワーは確かに男子よりも劣りますが、レベルの高さに最初は驚かされました。平安の2年生レベルぐらいの高さです」

 女子プロ野球創立当初は2チームだったが、今は4チームに増えた。4年目には川口氏が監督に就任。

「4チームに戦力を均等に分けるため、JWBLはいったん選手をバラバラに振り分けた。マイナス面で言えば今までのファンが離れましたが、あくまで女子プロ野球の底上げを図るため。将来への布石としての措置でした」

 女子野球部を設ける高校は当時、5校足らず。大半がソフトボール部を採用し、高校に上がると野球からソフトに転身するのが慣習化されていた。それが女子プロリーグが設立されると、女子野球部は20校以上にまで増えた。

「(4チームのうちの)東北レイアは次世代を育てるためのチーム。いわゆる育成チームで、高卒3年目の選手が多数を占めています。今は全チーム女性監督となって、僕は(京都の監督を退任して)全チームを統括するバッテリーヘッドコーチという立場になった。東北レイアを見ていることが多いんですが、男子コーチがいないチームに出向いてノックを打つこともあります。女子だと外野ノックで強い打球を打てないから」

 時には女性監督やコーチにもアドバイスを送る。

「試合になると女子プロのサイトに速報バナーが貼られるんですが、その速報も僕の担当です。試合を観ながらパソコンで入力する作業を各地でやります。選手の細かな動作を観る余裕がないほど、入力に追われてますよ(笑)」

 言動からは、充実した第2の人生が伝わってきた。

 女子プロ野球には、埼玉アストライアのコーチに転身した辻内崇伸氏(27)もいる。同チームを運営する企業「わかさ生活」でサラリーマンをしながら、野球に携わる日々なのだ。

 辻内氏は大阪桐蔭のエースとして甲子園を沸かせ、マックス156キロを誇った左腕。05年に鳴り物入りで巨人に入団した。

 だが、ルーキーイヤーのキャンプで、肩痛を発症。この故障から引退に至る13年まで、辻内氏はケガと戦い続けた。通算8年間で一軍登板はなし。引退後に「埼玉アストライア」のコーチに就任すると、ようやく当時の苦悩を、テレビ番組などを通して明かすようになった。

 辻内氏によれば、プロ入り当初の期待が大きかった分、公私を問わずにファンから心ないヤジが聞こえてきたという。気晴らしに食事に出かければ、

「久しぶりに見るな。遊んでいる暇があれば練習すればいいんじゃないですか」

 とイヤミを言われる。

 ネットでも誹謗中傷ばかり。ケガとの闘いは見向きもされていなかった。

 同じ女子プロ野球の世界という「同業者」である先の川口氏は、辻内氏から相談を受けたりもしたという。川口氏は言う。

「辻内は苦悩しています。といっても女子野球の指導法についてですが、今は元気に頑張っていますよ。男女の考え方が基本的に違いますし、女性はよく思われたいとどこかで感じている。対等に扱うのが大前提で、男のプロ野球選手のように一匹狼のようなタイプはほぼいません。辻内もその違いに戸惑っていましたが、今は2年目。徐々に慣れ始めていますよ」

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
2
高島礼子の声が…旅番組「列車内撮影NG問題」を解決するテレビ東京の「グレーゾーンな新手法」
3
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
4
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
5
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え