芸能

井筒監督×マツコ・デラックス「ドアホちゃうか、ニッポン!」スペシャル対談(2)アニメは“日本人の顔”が1つもない

20170105_12m2nd

マツコ 最近は映画も観なくなったし、DVDも借りなくなっちゃったけど、監督は何かいいのあった?

井筒 アメリカの刑事ドラマで、マシュー・マコノヒー主演の「トゥルー・ディテクティブ」は、なかなかのもんやったよ。トランプ票とキリスト教で埋まるようなルイジアナ州のクソ刑事の話やねんけどな。

マツコ そのドラマは不勉強で知らなかった。

井筒 冒頭で主役の刑事がパトカーの中で言うのよ。「人間ってのはヘマばかりしてる。人間の意識は進化上の誤りだ。自意識が過剰になった人間は自然界には向いていない。知恵があってもロクに働かせない。自分だけで悪いことばかりたくらんでる。こんな錯覚だらけのものは生き物じゃない。もう人間は存在しないほうがいい。セックスもやめて、子供も作らないほうがいい」と。主人公がよ!

マツコ へぇ~。つまり、人類をとだえさせたほうがいいってことよね?

井筒 そやねん。「オレはそういう最期が見たい」と。邪教絡みの、セックスや私利私欲にまみれた殺人事件を何十年も追いかける話なんやけど、このロクでもない悪知恵だけが横行する世の中に、言い得て妙なドラマやと思ったね。アメリカのガラクタみたいな娯楽映画にウンザリした層の間で評価されたらしいけど、なるほどと思ったわ。

マツコ それ、今度観てみる。私なんか「君の名は。」もまだ観てないしね‥‥。

井筒 あんなもの、別にオレらが観る理由はないわ。「シン・ゴジラ」も40分で観るのやめたもんな。最初にヘンな虫みたいなものが出てきて、それが10分ほどで進化してゴジラになったら、いつもと同じ形かい! とひっくり返って、そのまま映画館から逃げるように出てきたわ。

マツコ アタシ、ゴジラも観てないからね。でも「君の名は。」で思ったけどさ、日本人ってホントにアニメが大好きになっちゃったわよね。

井筒 あんなオタクのオナニー動画を、1000万人が観るようになったら、オレは終わりやと思うけどね。あれは「映画」ちゃうから。

マツコ 確かに言えてる。アニメって、ヘンタイさんが後ろ指さされたり、白い目で見られながらも、コツコツと築いてきた特殊な文化じゃない。でも、これだけメジャーになっちゃうと、いつか破綻するよね。テレビや雑誌と同じ。ほとんどのものがデータで作られるようになって、中庸を目指し始めて、最後にはオタクどころか、一般大衆すらボッキしなくなって「つまらない」で片づけられちゃうものだらけになると思う。そもそも、アニメは日本の誇るカルチャーだとか言って国が動き始めた時点で終わりだけどね(笑)。

井筒 これは大島渚監督の受け売りやけど、「敗者は映像を持たない」って言葉があるんよ。つまり、原爆の映像も全てアメリカ側の映像で、負けた日本側の撮った映像は何も残ってないというわけよ。

マツコ なるほど~!

井筒 オレはそれがずっと続いてると思うね。全て勝者の国のマネ。アニメの顔を見たら、そこに日本人の顔は一人もいないやろ。

マツコ そうよね。みんな目が大きくて、金色みたいな髪を風でなびかせて、そんなわけないだろって!

井筒 日本人は、負けた日本人のリアルな顔が見たくないねん。それが常に深層にあって、根づいてしまったいうことよ。

マツコ そっかぁ。昭和の映画に出てくる女優さんも日本人離れしたバタ臭~い顔の人が多かったしね。最近は最近で、無味無臭な顔ばっかりだし‥‥。

井筒 だから、日本のドラマでも映画でもアニメでもたとえクソ真面目に脚本書いたところで、ニセモノの顔しか出てこないから、結局は薄っぺらいねん。どこの国の話か不明やもん。

マツコ 日本はアニメの顔っていう、特殊な世界を作っちゃったんだね。

井筒 アニメの聖地巡礼って片腹痛くなるわ。マジでアホちゃうかと。そこにあんな目玉のデカい女子はおりまへんがな!

マツコ 「スラムダンク」の江ノ電とか、「君の名は。」の聖地巡礼もそうだけど、何であんなに写真ばかり撮りたがるんだろうねえ。食べ物屋さんでも、料理が運ばれてくると「ちょっと待ったー!」って(笑)。

井筒 あれは何だろうな。料理の写真を必ず撮るキショい連中。雲や桜を見ないで写真だけ撮ってるヤツ。風景を覚えられない連中。

マツコ あれだけは何が楽しいのかさっぱりわからなくて。「ちょっと待ったー!」って言うなら、自分の分は自分で注文しろって話よ。

井筒 最終的に味なんかどうでもええねん。撮って誰かに送るだけのビョーキ。

マツコ まあ、こんなことに文句言ってる私たちこそ古~い人間なんだろうね。

井筒 ええのよ、こうやって毎年同じことを語れるのは楽しいこっちゃ!

マツコ そうよね。ネット社会の一瞬だけにアジャストしていく生き方のむなしさったらないからね。この対談が生きてる証拠(笑)。

井筒 ほんまやで。アサ芸も生き残ってくれよ!

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
2
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
3
「コーチに無断でフォーム改造⇒大失敗」2軍のドン底に沈んだ阪神・湯浅京己のボコボコ地獄
4
【大騒動】楽天・田中将大が投げられない!術後「容体不良説」も出た「斎藤佑樹との立場逆転」
5
フジテレビ・井上清華アナ「治らない顎関節症」と「致死量ストレス」の不穏な関係