社会

宮本武蔵の養子・伊織は破格の出世で「年収3億円」を手にした

 日本の歴史上、最強の剣豪といわれる宮本武蔵の養子・伊織は、年収3億円のエリート官僚だった。

 武蔵は剣の修行を兼ねて東北地方を放浪し、木下街道を使って江戸への玄関口・行徳に向かう途中、父親を亡くした伊織と出会ったと伝わっている。

 2人が初めて出会ったとされる藤原観音堂(写真)はJR船橋法典駅近くにあり、今でも地元では「身代わり観音」として親しまれている。文書は残っていないが、武蔵は佐々木小次郎との巌流島の決闘以前に伊織と共にこの地に住み、開墾しながら農業にいそしんだらしい。

 この藤原観音堂は、JR東西線・妙典駅近くにある徳願寺の寺領である。徳願寺には武蔵の書や武蔵が描いたと伝わる「八方睨みの達磨」が、寺宝として保管されている。武蔵や伊織が徳願寺や藤原観音堂と関係が深かったことは間違いないだろう。

 伊織が歴史に登場してくるのは、武蔵の推挙により寛永三年(1626年)、15歳の時に播州明石藩主・小笠原忠真(当時忠政)の近習に出仕した頃からである。

 その後、出頭人となり弱冠20歳で執政職、つまり家老に抜擢された。これだけでも破格の出世だが、その後も勢いは止まらなかった、

 寛永九年(1632年)に主君が豊前小倉藩へ移封された際には、2500石に加増された。さらに同年(1638年)に起きた島原の乱に、侍大将と惣軍奉行を兼ねて参加。その戦功により、さらに1500石を加増、都合4000石となり、家中の譜代・一門衆を越えて筆頭家老にまで登り詰めた。その後、子孫は明治維新を迎えるまで、筆頭家老の役職を務めている。

 さて、4000石の侍というのは、どれほどの立場なのだろうか。江戸幕府では大目付、町奉行、勘定奉行でさえ、その役料は3000石だ。4000石といえば書院番頭、小姓組番頭といった超エリート官僚のそれである。

 実入りも並大抵ではない。現在の米価格を10キロ約5000円と仮定する。1石は150キロで、その価格は7万5000円。4000石は現在の金額にして、3億円にも達することになる。

 武蔵は二天一流(二刀流)の祖で、生涯無敗といわれたが、本人が望むほどの立身出世はできなかった。だがその子孫は、武蔵の描いた栄達を果たしたことになる。

(道嶋慶)

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