スポーツ
Posted on 2013年04月11日 09:59

セ・リーグ元審判員が語る“プロ野球スーパースター列伝”「ボヤキ抗議に困惑する」

2013年04月11日 09:59

 審判がまず頭に叩き込まなくてはならないのが投手です。球種、クセ、モーションと球団のスコアラーよりも詳しくなります。

 そんな私の中で最も強く印象に残っている投手は、ヤクルトの伊藤智仁投手でした。あの野村克也監督が「江川2世やな」と入団1年目のキャンプの際に絶賛したほどの逸材でした。

 150キロを超えるストレートも天下一品でしたが、ストレートはどんなに速くても目が慣れてくれば、確実にストライク・ボールを見極められます。

 ところが、やっかいなのが伊藤投手の高速スライダーでした。打者の手元で滑るように真横に変化する。まさに、消える魔球でした。

 バッテリーを組んでいる古田敦也捕手でさえ、「キャッチャーだからまだ捕ることはできるけれど、あの球を打者として、打てと言われたら、絶対に無理だ」と語っていたほどです。

 私も伊藤投手が投げる時、投球練習ではバッターボックスがある真横から、球筋と古田捕手が捕球する角度を確認しないと、安心できないほどでした。

 そんな伊藤投手が投げると、試合もさくさく進みますが、なぜか、延長12回を裁いた時よりもはるかに疲れる気がしたものです。

 当時、審判たちをきりきり舞いさせたのは、選手だけではない。審判の判定は絶対であり、抗議は許されない。しかし、監督たちの個性的な抗議は名物でもあった。

 巨人の長嶋茂雄監督は私が記憶しているかぎり、一度もストライク・ボールやアウト・セーフで抗議を受けたことはないですね。本当に天真爛漫で、簡潔に言うとセコくないのです。

 一方、王貞治監督は抗議の場面でも実に冷静。「なぜアウトなのか」と論理的な説明を求めてくる。だからこちらも、「半歩遅れています」と他の監督以上に理路整然と説明するようにしていました。乱暴な言葉で抗議されれば、「退場」という言葉も思い浮かびますが、王さんはそうならない。審判心理をついているとも言えますが、王さんの冷静で実直な人柄のためでしょう。

 野村監督も乱暴な言葉は使わないが、あの“ボヤキ”には困らされましたね。ヤクルト監督時代に、何度もネチネチとやられました。言葉尻を捕まえるのはお手のもの。しかも、執念深さも相当なもので、前日の試合ばかりか、こちらが忘れているような数週間前の出来事まで持ち出してくる。そんな野村監督への対処方法が、「今日のご機嫌」なんです。野村監督は機嫌がいいと、「篠宮さん」と呼んでくれるんですが、機嫌が悪いと「おい、アンパイア」ですから。こういう時は要注意です(笑)。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年10月30日 11:30

    今年も園遊会に招かれなかった。いつかお声がかかる日が来るかもしれないと、ブックオフで値下げされていた「皇室入門」という新書まで購入し、熟読しているのに、いまだお呼びがかからない(笑)。ちなみに園遊会とは天皇・皇后両陛下が各界の功労者らを招き...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    スポーツ
    2026年11月02日 11:45

    10月30日に秋季キャンプを始動させた巨人の映像が流れ、高橋由伸ヘッドコーチと清水隆行打撃チーフコーチの就任が紹介された直後だった。11月1日放送の「サンデーモーニング」(TBS系)で駒田健吾アナウンサーが「上原さんは、ピッチングコーチは?...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年11月02日 15:30

    脳梗塞で療養中だった伊達みきお(サンドウィッチマン)が、10月31日の「サンドウィッチマンザ・ラジオショーサタデー」(ニッポン放送)で、2カ月ぶりに復帰した。「さあ、時刻はお昼の1時を回りました。こんにちは。サンドウィッチマンの伊達みきおで...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/10/27発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク