スポーツ
Posted on 2013年04月26日 09:59

長嶋と松井“4番の遺伝子”継承までの21年間「引退式を機に“古巣”と急接近」

2013年04月26日 09:59

 過去10年間、セ・リーグにおいて、連覇を果たしたチームは出ていない。13年のシーズンを前に、連覇を狙う巨人の激励会が行われた。その後、読売グループの渡邉恒雄会長は「原君に当分やってもらわんといかんが、そのあとがいないんだよ」と寂しそうに語っていたという。渡邉会長とすれば、自分が健康のうちにキチンと後継者を指名しておきたいという思いもあるのだろう。原の後継者を巡っては、名前があがっては消えている江川卓はすでに58歳であり、渡邉会長の覚えはめでたくない。一時は名前のあがった星野仙一、中畑清は他球団の監督になり、縁が遠くなっている。

 桑田真澄にしても退団のいきさつもあり、なかなか承諾しがたい状態になっている。そんな状況の中、後継者として急浮上したのが松井であった。松井と巨人の間では、FAで移籍をする際、渡邉会長の逆鱗に触れたという過去がある。だが、一時は裏切られた思いが強かった渡邉も、ここ数年の松井の姿に何とか関係を修復させたい意向のようだ。

 巨人の白石興二郎オーナーは、「松井さんはアメリカに残ってしばらくは勉強したいということですから、巨人としても全面的にバックアップしていきたい」と提携球団であるヤンキースでのコーチ留学を示唆している。

 松井は「私はいい指導者に恵まれて育った」と語っているが、彼の言う「いい指導者」とは、ヤンキースのトーリ元監督、母校・星稜高校の山下智茂監督、そして長嶋になる。山下監督は「王さん、長嶋さんはなぜ皆から愛されるのかわかるか。審判や周囲の行動に一切、文句を言わないからだ、と指導してきた。それが明徳戦の5連続敬遠の時、宿舎に戻ってから、“お前も長嶋さんになれたな”とホメたことがある。その長嶋さんと一緒に国民栄誉賞をもらうなんて、こんな光栄なことはない」と語っている。

 自分の考えとは別に、どんどん進むシナリオに、松井はどう反応したらいいか困惑している様子だ。それは国民栄誉賞受賞の言葉にも出ている。

「長嶋監督の受賞は日本中の方が納得されると思いますが、私は監督に愛情を注いでいただき、20年間プレーをすることができました。ですから、この賞は監督のおかげです。正直、現時点でいただいていいのか、戸惑いもありますが、今後、数十年の時間をかけてこの賞をいただいても失礼じゃないことを証明します」

 はたして、国民栄誉賞W受賞後に、松井はどんな選択肢を選ぶのか。そして、その決断の根底には、長嶋から継承した美学があるのだろう。

 

スポーツライター 永谷脩

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