スポーツ

長嶋と松井“4番の遺伝子”継承までの21年間「引退式を機に“古巣”と急接近」

 過去10年間、セ・リーグにおいて、連覇を果たしたチームは出ていない。13年のシーズンを前に、連覇を狙う巨人の激励会が行われた。その後、読売グループの渡邉恒雄会長は「原君に当分やってもらわんといかんが、そのあとがいないんだよ」と寂しそうに語っていたという。渡邉会長とすれば、自分が健康のうちにキチンと後継者を指名しておきたいという思いもあるのだろう。原の後継者を巡っては、名前があがっては消えている江川卓はすでに58歳であり、渡邉会長の覚えはめでたくない。一時は名前のあがった星野仙一、中畑清は他球団の監督になり、縁が遠くなっている。

 桑田真澄にしても退団のいきさつもあり、なかなか承諾しがたい状態になっている。そんな状況の中、後継者として急浮上したのが松井であった。松井と巨人の間では、FAで移籍をする際、渡邉会長の逆鱗に触れたという過去がある。だが、一時は裏切られた思いが強かった渡邉も、ここ数年の松井の姿に何とか関係を修復させたい意向のようだ。

 巨人の白石興二郎オーナーは、「松井さんはアメリカに残ってしばらくは勉強したいということですから、巨人としても全面的にバックアップしていきたい」と提携球団であるヤンキースでのコーチ留学を示唆している。

 松井は「私はいい指導者に恵まれて育った」と語っているが、彼の言う「いい指導者」とは、ヤンキースのトーリ元監督、母校・星稜高校の山下智茂監督、そして長嶋になる。山下監督は「王さん、長嶋さんはなぜ皆から愛されるのかわかるか。審判や周囲の行動に一切、文句を言わないからだ、と指導してきた。それが明徳戦の5連続敬遠の時、宿舎に戻ってから、“お前も長嶋さんになれたな”とホメたことがある。その長嶋さんと一緒に国民栄誉賞をもらうなんて、こんな光栄なことはない」と語っている。

 自分の考えとは別に、どんどん進むシナリオに、松井はどう反応したらいいか困惑している様子だ。それは国民栄誉賞受賞の言葉にも出ている。

「長嶋監督の受賞は日本中の方が納得されると思いますが、私は監督に愛情を注いでいただき、20年間プレーをすることができました。ですから、この賞は監督のおかげです。正直、現時点でいただいていいのか、戸惑いもありますが、今後、数十年の時間をかけてこの賞をいただいても失礼じゃないことを証明します」

 はたして、国民栄誉賞W受賞後に、松井はどんな選択肢を選ぶのか。そして、その決断の根底には、長嶋から継承した美学があるのだろう。

 

スポーツライター 永谷脩

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
2
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
3
ボクシング・フェザー級「井上尚弥2世」体重超過の大失態に「ライセンスを停止せよ」
4
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
5
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか