スポーツ

マイアミの奇跡 城彰二が明かした“打倒ブラジルの秘策”

 今年のAKB総選挙で大方の下馬評を覆し、センターの座を獲得した指原莉乃。スキャンダルを逆手に取って九州から巻き返したのも記憶に新しいが、劇的な“大番狂わせ”ほど、我々を興奮させるものはないだろう。サッカーの歴史的1勝から大穴馬券エピソードまで名場面を振り返ろう!

 日本サッカー界最大の番狂わせといえば、96年アトランタ五輪でのブラジル撃破に尽きるだろう。「マイアミの奇跡」として今も語り継がれるこの試合を、主力として出場していた城彰二氏に振り返ってもらった。

 ブラジルとの対戦が決まった時、正直なところ勝てるとは思いませんでした。一方で、すごく楽しみだったことも覚えています。ロベルト・カルロス、ジュニーニョ、ベベットといったテレビでしか見たことない選手と戦えるのはとてもうれしかった。

 試合前の入場で、ブラジルは選手全員が手をつないで入ってくるじゃないですか。それを見ながら僕ら日本の選手は「ロベルト・カルロスがいるよ~」なんて言い合っていました。

 当時、ブラジルチームは、格下の日本代表に対し、万全の布陣で試合に臨んだ。FWのベベットをはじめとして、ロベルト・カルロスやロナウドを擁する世界最強のチームだった。94年のワールドカップも優勝し、チームの勢いもノリに乗っていた時期だ。一方、日本はまだアジアの強豪にすぎない存在だった。

 西野朗監督のブラジル対策は「徹底的に守って、一発のチャンスに賭ける」というものでした。事前の分析では、ブラジルのゴールキーパーとDFの要であるアウダイールとの連携があまりよくないという結果が出ていました。だからミーティングでは、「アウダイールの背後に速いクロスを放り込めば何かが起きるんじゃないか」という作戦が立てられました。

 僕ら攻撃陣は当初、負けてもいいから今までどおりの攻撃的スタイルを貫きたいと考えていました。しかし、西野さんから「得点チャンスはそこしかない。勝つんだったら、それくらいの覚悟が必要だ」という説明があり、最終的には納得して試合に臨みました。

 いざ試合が始まってみると、ブラジル選手と僕らとはまるで「大人と子供」でした。体の動きはもちろん判断も速い。こちらがフッと息を抜いた瞬間にボールを奪われてしまうから、一秒たりとも集中力を切ることができない。それまでにそんな経験はしたことがありませんでした。

 前半を0-0で終われたのは、守備に人数をかける作戦が功を奏したことと、ゴールキーパーのヨシカツ(川口能活)のファインセーブのおかげです。いいシュートを打ちながら点が獲れないことで、前半の終盤頃にはブラジル選手がイライラしているのがわかりました。

 後半に入ると、僕らもブラジルのスピードに慣れてきました。前半はほとんど攻撃させてもらえなかったのですが、ボールをつなぐ時間を作れるようになった。

 一方のブラジルは、焦りのせいかひとりひとりが強引にドリブル突破するようなプレーが増え始めました。そうなると日本守備陣の網に引っ掛かる。こうした流れの中で後半27分の得点シーンが生まれました。

 左サイドバックの路木龍次さんが、前線で待つ僕とマークに付こうとしていたアウダイールの間に落とすつもりでセンタリングを上げた。少しタイミングがずれたため僕はそのセンタリングに届かなかったのですが、相手ゴールキーパーとアウダイールが交錯してボールがこぼれたところをテルさん(伊東輝悦)が押し込みました。

 スタンドは圧倒的にブラジルサポーターが多かったのですが、あの得点で会場が一瞬にしてシーンとなり、「これはブラジルやばいぞ」という空気に変わってしまった。その空気がブラジル選手たちにもプレッシャーになったのでしょう。結局、そのまま逃げ切ることができました。

 あそこで相手選手が交錯するなんて誰も予想できません。相手のシュートがゴールポストに当たるという幸運もあった。そういう意味ではツキもあったのでしょう。ただ、あのセンタリングは試合前に立てた作戦どおりのプレー。「ツキと準備」がこれ以上ないタイミングでかみ合ったからこそ奇跡が生まれたんでしょうね。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<老人性乾皮症>高齢者の9割が該当 カサカサの皮膚は注意

    330777

    皮膚のかさつきを感じたり、かゆみや粉をふいた状態になったりすることはないだろうか。何かと乾燥しがちな冬ではあるが、これは気候のせいばかりではなく、加齢による皮膚の老化、「老人性乾皮症」である可能性を疑った方がいいかもしれない。加齢に伴い皮膚…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    327330

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    326759

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
中居スキャンダルで謎が解けた!大谷翔平の両親の忠告「女子アナとだけは結婚するな」のナルホド
2
太川陽介が舌好調で明かした妻・藤吉久美子への「暴君ぶり」自宅での料理で激怒した
3
NHK番組は終了…とんだトバッチリでしばらくは新規起用が見送られる「新しい地図」の悲運
4
あの「わかめラーメン」新CMにゆうちゃみ起用で思う「廃業危機ラーメン店」を救うのはギャル
5
「いい人」返上のやす子が「死ねばいいのに!」罵倒…それってフワちゃんと変わらない大問題