芸能
Posted on 2013年08月06日 10:00

82年の河合奈保子と石川秀美(2)奈保子の歌唱力はアイドルでは突出していた

2013年08月06日 10:00

「おもしろいこと言えなくてごめんなさい!」

 奈保子はマネジャーの下隆浩に懸命に頭を下げている。何か大きな失敗をしたわけではない。慣れないバラエティ番組で、機転の利いたコメントが出せなかったと猛省しているのだ。

「そこが奈保子の可愛らしさだし、何年経っても変わらない体育会系な考え。いつも返事は『ハイッ! ハイッ!』だったしね」

 仕事に対する責任感は同期の中でも飛び抜けていた。デビュー2年目の81年10月、NHKホールでの収録で、誤って4メートルも深い「奈落の底」に落ちて全治2カ月の重傷を負う。

「ごめんなさい、ごめんなさい‥‥」

 自身のケガよりも、仕事に穴を空けることに対しての謝罪をスタッフに繰り返す。そのせいか、絶対安静の身でありながら、病院を抜け出して新曲のレコーディングに向かったことさえあった。

 ただし、と下は言う。こうした「裏表のなさ」が、どこか歌手として突き抜けられない要素にも思えた。性格も堅実そのもので、デビューから7年後には神奈川・川崎に自宅を購入しているほどだ。

 そして「脱アイドル」という新たな課題に直面することになってゆく──、「当時は事務所としても、奈保子をどうやって再生させるか迷走していた。ミュージカルやドラマをやらせたり、バラエティにも顔を出させたり。ただ、やはり歌できちんとプロモーションしようかという感じにはなっていった」

 健康的な笑顔の印象が強いが、奈保子の歌唱力はアイドルでは突出していた。あるバラエティ番組に出た際には、完璧なまでの「絶対音感」に会場からどよめきが起こった。86年には史上最年少で「日本作曲家協会」の会員にも認定されている。

 86年に発売した「ハーフムーン・セレナーデ」からは、ほとんどのシングルの作曲を担当。同年の紅白では、念願だったピアノの弾き語りを披露した。

 そんな奈保子の清せい冽れつな日々に、唯一と呼べるゴシップが「ジャッキー・チェンとの熱愛騒動」だった。下は直接、奈保子の気持ちを確かめている。

「少し経ってから『どうなの?』と聞いたら『すごく好きだった』と答えましたね。ハリウッドで成功した数少ない東洋人スターでありながら、奈保子に対して気遣いができる。とはいえ、ジャッキーには妻子がいたから、発展することはありませんでしたが」

 むしろ、96年の婚約発表のほうが寝耳に水だった。以来、奈保子はカムバックすることなく、オーストラリアの地で家族とともに平穏な日々を過ごしている。1つだけ元マネジャーとして思うことは、奈保子をアーティストとしてさらに羽ばたかせたかった点につきる、という。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年01月14日 07:30

    昨年あたりから平成レトロブームを追い風に、空前の「シール」ブームが続いている。かつては子供向け文具の定番だったシールだが、今や「大人が本気で集めるコレクターズアイテム」として存在感を放つ。1980年代から90年代を思わせる配色やモチーフ、ぷ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月19日 07:30

    鉄道などの公共交通機関で通勤する人が、乗車の際に使っている定期券。きっぷを毎回買うよりは当然ながらお得になっているのだが、合法的にもっと安く購入する方法があるのをご存じだろうか。それが「分割定期券」だ。これはA駅からC駅の通勤区間の定期券を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月22日 07:30

    今年も確定申告の季節がやってきた。「面倒だけど、去年と同じやり方で済ませればいい」と考える人は少なくないだろう。しかし、令和7年分(2025年分)の確定申告は、従来の感覚では対応しきれないものになっている。昨年からの税制の見直しにより、内容...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/2/3発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク