スポーツ

楽天田中将大と嶋基宏「黄金コンビ」苦闘7年物語(9)嶋が示したCS対ロッテ戦攻略法

20131107j

 楽天のエース・田中将大は日本シリーズでの巨人との対戦を念頭に、今シーズンを闘い抜いてきた。その裏には「圧倒的な強さを誇る」チームに対するムキ出しの闘争心があったのだ。メジャー行きを控えるラストシーズンで田中と嶋のバッテリーは日本一を誓った。

 日本シリーズの流れは、雨の影響で大きく変わる。かつて58年の日本シリーズで、西鉄が巨人相手に3連敗を喫したあとに、稲尾和久が雨で1日順延になってからの4連投で、西鉄が巨人を破って日本一になった。そこから「神様、仏様、稲尾様」と呼ばれた“神話”が誕生したほど、天候と野球の勝敗は切っても切れない関係にある。

 田中将大は25連勝という記録を達成し、稲尾の持っていた連勝記録を更新。もはや「神の子・マー君」などと軽々しく呼べないほどの存在となり、あの星野仙一監督でさえも「田中様やな。マー君などとはおそれおおくて言えんわ」と平身低頭の姿勢だ。

 そんな中でも、楽天ナインは「マサヒロ」と呼び捨てにしている。特に女房役で4歳年上の嶋基宏は、誰の前でも一貫して「マサヒロ」と大声で呼ぶスタンスに変わりはない。

 田中にとって、日本球界での存在感が大きくなるにつれ、周囲は気を遣ってあまり親しく話しかけなくなっているだけに、嶋の問いかけには、田中もつい本音を吐露してしまうことが多いという。

 星野監督は、以前から地元開催となる仙台で、日本シリーズ進出を果たす瞬間のマウンドは田中に託したいと決めていた。10月21日のクライマックスシリーズのファイナルステージ、対ロッテ戦でのこと。9回、3点差でマウンドに上がる田中に真っ先に声をかけたのが嶋だった。

「大丈夫か。これで終わりじゃないんだぞ」

 多少の不安があったのだろうが、「ハイ」と答えた田中。初球はいきなり150キロのストレート。その後も打者の鈴木大地に対して154キロまでスピードを上げ、キャッチャーへのファールフライで打ち取った。そして代打・金澤岳を一塁ゴロで二死にする。

 ここから1番・根元俊一、2番・福浦和也に単打を打たれて、宿敵の井口資仁まで打順を回した。

「(優勝を決めた9月28日の)西武戦(一死二、三塁としながら栗山巧、浅村栄斗を打ち取る)もそうだけど、周囲をひやひやさせながら、いい打者で打ち取る芸当をアイツはわざとやっているようにも見える」

 と、星野監督が驚きを隠さなかった投球内容で、井口をきっちりと三塁ゴロでしとめ、楽天初の日本シリーズ進出を果たしたのだ。前日に予定されていた第4戦は雨で順延。もし、このまま雨が降らずに田中が中2日でマウンドに立っていたら、星野監督のシナリオははたして成功したのか。

「仙台のファンの前で星野監督を胴上げできたのが何よりもよかった」

 そう語った田中は、クライマックスシリーズのファイナルステージが始まる前に、嶋とスコアラーの行木〈なめき〉茂を交えて、ロッテ対策を行っている。初戦に先発する田中の動向しだいで戦局が大きく変わってくるからだ。その結果、速球を封じ内角中心の変化球から入るというシーズン中にはあまり見られない配球でいこうという嶋の考え方に、田中は理解を示したのだった。

 田中には考えがあった。クライマックスシリーズファーストステージ・西武戦でのロッテ打線が、ファーストストライク狙いでドンドン振ってくるのをビデオで見ていた。加えて、今シーズンの課題である「イニング先頭の打者は絶対に抑えること」を再確認して、初戦のマウンドに上がった。そして、9回の締めには155キロの最速スピードで見送りの三振にしとめてゲームセット。理想の型でのピッチングで主導権を手中にしたまま、2勝1敗で迎えた第4戦でもきっちりと、そのピッチングの型を踏襲したのだった。

◆スポーツライター 永谷 脩

◆10/29発売(11/7号)より

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    飲み続けていたら夜もイキイキしてきた!?口コミで話題の「活力アミノ酸(R)DX」とは?

    Sponsored
    213053

    コロナ禍という長いトンネルも徐々に出口が見え、昨今は人々の社会活動も活発的になってきた。連休は「久々にゴルフに出かけた」「家族サービスで国内旅行をした」といったパパ世代の諸兄も多いのではないだろうか。在宅勤務から勤務へ徐々に回帰する企業も増…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    出会いのカタチもニューノーマルに!「本気で結婚したい」男がやるべきこと

    Sponsored
    168750

    「結婚はしたいけど、もう少し先でいいかな……」「自然な出会いを待っている……」と思いながらも、「実は独りが寂しい……」と感じてはいないだろうか。当然だ。だって男は弱いし、寂しがりだから。先の“言い訳”じみた考えも、寂しさの裏返しのようなもの…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , |

    テストコアNO3が若者から評判なワケは?理由と口コミ調査

    Sponsored
    184479

    男性の性の悩みといえば、中高年世代のイメージが強い。ところが今、若者の半数近くが夜のパフォーマンスに悩みを抱えている。ヘルスケアメディアの調査(※1)によって、10代から30代の44.7%が「下半身」に悩みを抱えているという衝撃の実態が明ら…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
川島なお美「前貼りなし」で挑んだ古谷一行とのベッドシーン「入っていた」伝説
2
黒柳徹子が「どっちでもいい」バッサリ!ホラン千秋の「徹子の部屋」残念発言
3
「バスト透けすぎ!」三浦瑠麗が公開した「国葬参列の喪服写真」があんまりスゴイので…
4
大政絢&ワンオクToruの結婚で「弘中綾香アナとの破局理由」が再注目されたワケ
5
「なんちゅう格好してんだ!」三浦瑠麗が見せ続けた「朝まで生バスト」歓喜の渓谷美