スポーツ

藤波辰爾 試合中に長州力と揉めた一件の黒幕は「たぶん、猪木さん」

テリー 3つ目の転換点は、やっぱり長州力選手の登場ですか。

藤波 そうですね。彼は僕より年齢的には2つ上なのかな。でもこの世界に入ったのは僕のほうが早いから先輩で。彼はアマレスでオリンピックに出てるし、全日本選手権も取ってるし、相撲でいう幕下付出(つけだし)のような感じで、ほとんど猪木さんのパートナーのような地位で入ってきたんですよ。

テリー まぁ、超エリートですね。

藤波 でも、プロレスの動きの感じをつかめてなかったというか、アマとプロの違いで、彼はちょっと苦悩してたんです。そんな中、僕が凱旋帰国してしばらく経った時に猪木さんと僕と長州の3人でタッグを組んで、外国人選手と戦うカードが組まれたんですよ。その試合中に、僕と長州が揉め始めちゃったんですね。

テリー あれ、何だったんですか。

藤波 僕もよく覚えてないんですけど、長州が僕にタッチするとかしないとか、そんなことだったと思います。それで、僕と長州は試合そっちのけで殴り合って、猪木さんもただ呆然と立ってるだけで、試合が終わっちゃったんです。

テリー 猪木さんは試合中止めに入らなかったんだ。

藤波 ええ。でも、控室に帰ったら猪木さんにものすごくドヤされたんですよ。「テメェら何やってるんだ、このヤロー!」って。ところが、気づいたら長州がいなくて、僕がひとりで怒られてるんですよ。

テリー えっ、どこ行っちゃったの。

藤波 わからないです。当時の猪木さんはすごくギラギラしていて怖かったし、僕も余裕がなくて、それどころじゃなかったですからね。ただ、何年かしてからふと思ったんです、「待てよ」と。あんなことをすれば試合を壊しちゃうわけですから、いくら長州でもやらないだろうと。

テリー 3人タッグといったって、メインはどう考えても猪木さんですからね。

藤波 そうなんですよ。そうすると裏で誰かがけしかけたんじゃないかと。たぶん、猪木さんですよね。

テリー でしょうね。

藤波 当時、長州は悩んでいたし、僕は僕でジュニアヘビー級という居心地のいい場所にいて、そのままではいつかファンに飽きられてしまう。だから、猪木さんは次の展開を見たかったんだと思うんです。次の目玉を作りたかったというか。でも、そうすると「自分でけしかけておいて、何で僕だけ怒られなきゃいけないんだ」って話なんですけど(笑)。

テリー アハハ、そりゃそうだ。でも、やっぱり猪木さんは策士ですね。

藤波 そうですね。とにかくプロレスに関しては、すごい感性の持ち主でしたから。テレビの視聴率も20%というのをすごく意識してましたし。だから、控室に小さいモニターがあるんですけど、それを見てると空席が映ることがあるんですよ。そうするとすぐに社員を呼んで、「お客さんをあっちに詰めろ」って指示してましたからね。カメラで映るところは常に満席状態にしておけってことなんですよね。

テリー へぇ~、すごいな。

藤波 それと東京で試合がある時は中継スタッフも慣れてますからいいんですけど、地方の時は地元のスタッフが慣れてなくて、いい画が撮れなかったりするんですよ。そういう時は猪木さんが会場の外に停めてある中継車まで行って、自分で映像を切り替えるボタンを押してましたからね。

テリー ええっ、それってスイッチャーの仕事じゃないですか!

藤波 はい(笑)。だから、「ワールドプロレスリング」でいい画が撮れるのは当たり前だったんですね。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
2
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
3
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え
4
完熟フレッシュ・池田レイラが日大芸術学部を1年で退学したのは…
5
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」