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記事全文を読む→NHK「南海トラフ特番」のせいで死者が増える「不貞メロドラマ」最悪のシナリオ
3月4日、5日の連夜放映されたNHKスペシャル「南海トラフ地震」が炎上中だ。
番組では専門家の意見や津波の再現実験などが盛り込まれたが、大半を占めたドラマが視聴者に誤解を与え、ともすれば津波犠牲者を増やす「最悪のシナリオ」だったのだ。
ドラマでは車椅子が壊れて動けなくなっている高齢者をおぶって避難する若者や、大阪の町工場で負傷した社員に社長が肩を貸して逃げる人情ドラマが描かれた。南海トラフからどう身を守ればいいのか、実益のある特番を期待していた視聴者にとっては肩透かしだ。
しかもドラマ主人公の嫁は震災直前に「不貞未遂」を起こし、地震翌日、小学生の1人息子が大阪・梅田で津波被害に巻き込まれ行方不明のままだというのに、夫に色目を使いながら「今日は結婚記念日だね」とケラケラ笑ってカップラーメンを啜るというカオス。
NHKの公式SNSには東日本大震災、熊本地震の被災者、女性視聴者から「津波特番に不貞を盛り込む必要があるのか」「3.11では子供達が実際に津波の犠牲になったのに」「被災翌日に温かい食事を摂れるわけないだろ」など、怒りのコメントが寄せられた。視聴者からのコメントの方が、よほど説得力がある。さすが看板アナウンサーが次々と下半身スキャンダル、ストーカー犯罪を起こすNHKならではの感性だ。
同特番サイトでは、京都大学の河田惠昭名誉教授が「日本の国力に影響を与える『国難』級の災害」、関西大学の永田尚三教授も「被災地では救助が来ないまま孤立する」などと言及。遠く離れた北海道や九州でもサプライチェーンが破綻、時間差で広範囲に地震が起きるため、被災地には1週間以上も救援が来ないなど、過去の地震津波災害を上回る被害になることを視聴者に啓蒙するのが、番組の主旨だったはず。
南海トラフが現実に起きたら、地震翌日に大阪の真ん中でカップラーメンなど啜れるわけがない。ガス管が破裂している可能性があるから、キャンプ用品を持ち出し、お湯を沸かそうとした瞬間に、辺り一帯が大爆発だ。
特にひどいのが、冒頭に書いた老人や負傷者を背負って避難する場面だ。ドラマの舞台になった高知県は、南海トラフ地震発生から5分から10分以内に、海岸線に津波が到達。内陸地でも30分から60分以内に身動きが取れなくなる、高さ30センチ以上の津波が到着する。とても老人、負傷者を背負って高台まで逃げ延びる猶予はない。
水の街・大阪も同様で、川に囲まれた大阪府内には、想定より早く津波が押し寄せることが懸念されている。
千葉県旭市が以前、想定していた津波の高さは3メートルだったが、東日本大震災時には想定の倍以上、高さ7.6メートルの津波が到達し、死者13人を出した。
記者も調べてみたが、梅田やUSJなど大阪府内の観光地の津波の被害想定は2~4メートル。USJはパーク全体が嵩上げされているとはいえ、もしも4メートルを超える津波が到達したら、身を守る避難場所がない。交通機関も麻痺しているため、周辺の高層ホテルがUSJ来場者のために十分な避難場所を解放しない限り、絶望するしかない。
警視庁や内閣府は公式サイト内で、東日本大震災で津波犠牲者を最小限に抑えた岩手県釜石市に伝承される「津波てんでんこ」を紹介。「津波が起きたらてんでばらばらに高所に逃げ、まずは自分の命を守れ」と明記している。一見、非情にもとれるが、自分の命をまず守るという尊い防災意識を身につけることに、この12年間、国も自治体も腐心してきたのだが。まさか「公共放送」が国の防災広報を潰しにかかるとは。
ご都合主義とデタラメに満ちたNHK不貞メロドラマ特番のサブタイトルは「最悪のシナリオにどう備えるか」。視聴者こそ最低のドラマシナリオに付き合わされた、最悪の週末だった。
(那須優子/医療ジャーナリスト)
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