社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<手足口病>大人が感染すると重症、歩行困難の危険も!?

「手足口病」といえば、子供のかかる病気のイメージだが、大人にも感染の危険性がある。厄介なことに、大人の方が重症化する危険性が高い。東京都感染症情報センターの発表によると、今年は特に感染者数が多いため、より注意が必要になる。

 この病気は、手のひらや足の裏、口の中などに痛みを伴う発疹や水ぶくれができ、発熱もするウイルス性感染症。発疹が出る場所から「手足口病」と呼ばれる。「ヘルパンギーナ」や「プール熱(咽頭結膜熱)」のように高温多湿の条件で活発になるウイルスが原因だ。

 5歳以下の乳幼児に発症することが多く、一度かかったウイルスには免疫ができる。しかし、別の型のウイルスには感染する危険がある。

「手足口病」のウイルスは、主にエンテロウイルスとコクサッキーウイルスによるものだが、それぞれがインフルエンザのように複数の型を持つため、大人でも注意が必要なのだ。

 しかも、大人の方が高熱や発疹の激しい痛みなど症状が重い。足の裏にできた発疹の痛みで歩くことすら困難になるケースもある。

 治療には抗ウイルス薬がないため、解熱剤や痛み止め、かゆみや炎症を抑える薬による対症療法が中心となる。基本的には7〜10日ほどで治るが、時には合併症につながる危険性もある。

 大人の感染は、やはり子供からうつされるケースが多いため、小さな子供がいる家庭では、家庭内感染に気をつけたい。

 予防法は、手洗いとうがいの徹底、タオルや食器などの共用を避けること。潜伏期間は3日から7日。感染した無症状の親を介して、職場などでウイルスが広まる可能性もあるため、油断は禁物だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「京都崩壊」の信じがたい現実…外国人観光客専用都市に激変した「不気味な風景」
2
「致命的ミス」巨人・リチャードに阿部監督が怒りの2軍通告!でも解説者2人は「?」反応
3
さだまさしが今明かす「借金28億円と返済地獄30年」の「コンサート年間186本」究極生活
4
山尾志桜里の「公認取り消し」騒動を起こした玉木雄一郎は「榛葉幹事長人気に焦った」って!?
5
岡田彰布が明かした「長嶋茂雄からの直電」が今もナゾのままの「不思議な縁」