中央競馬は今週から2週、来年のクラシック主役候補となる2歳王者を決めるGⅠレースが続くが、2歳戦は手が出しづらいと敬遠する馬券ファンは少なくない。ならばと馬券師ライターのT氏が推奨するのは、12月7日のGⅢハンデ戦「中日新聞杯」(中京・芝2000メートル)だ。T氏は「絶対に荒れる。しかも馬券で勝てる」と断言する。
過去を振り返ると、毎年ほぼフルゲートの戦いで(今年も18頭が出走予定)、2017年から12月にレース日程が移行してから、7年間の3連単平均配当が43万7524円と、とんでもない数字になっている。これは2021年の230万馬券が大きく影響しているわけだが、その年を抜いても6年間で平均11万5000円。確実に荒れるレースと言っていい。
T氏は「勝てる」と豪語した理由のひとつとして、
「まず、馬券の中心となる馬を前走着順で選別できるからです」
と説明した。12月開催の7年間で馬券になった(3着以内に入った)21頭中、なんと17頭の前走着順が馬券圏外なのだ。
「2016年までの3月開催とガラッと変わった点はそこですね。以前は年末から年明けに2~3走してグングン調子を上げてきた古馬が馬券になっていた。ところが12月開催になり、今後の伸びしろがある若い馬の出走が増えただけでなく、秋にひと叩きした馬の一変や、GⅠやGⅡで凡走した実力馬が巻き返すレースになった。ですから、前走着順がイマイチだった馬が、怒濤の勢いで穴をあけている」(T氏)
12月5日時点の出走想定馬を見ると、18頭中13頭が前走4着以下に消えている。馬券戦略の中心となる馬探しは一筋縄ではいかないようだが、T氏は笑ってこう言う。
「まず、9月以降に走っていない、休み明けの馬は好走例がほぼゼロ。そこはバッサリ切れる。もうひとつはハンデです。今回は56キロ以上のハンデが、半数の9頭いる。しかも人気馬はほとんどが、この中に入っている。そこがポイントです」
確かに1番人気確実の弥生賞馬コスモキュランダが、3歳ながら59キロのハンデを背負うなど、人気馬が軒並み57キロ以上を課せられている。T氏が続ける。
「重ハンデが多い年は過去にありますが、どんな状況だろうと毎年必ず、55キロ以下の穴馬が馬券になっている。これは不動のデータ。ならば本命はそこから探せばいい。今回なら前走アルゼンチン共和国杯5着、斤量55キロの4歳馬マイネルメモリーですね。中京競馬場の激走馬は、左回りの実績を伴っていることが常。この馬は左回りで7戦走って、全て5着以内。これを中心に買いたい」
マイネルメモリーは左回りのレースでは、4角の位置取りより確実に上の着順に追い込んできているが、ジリ脚だけに、
「アタマ固定(1着固定)のつもりはない」
と、T氏はあくまで3連単の軸を主張する。一方で、人気のコスモキュランダの取捨をどう考えるのか。
「7年間で3歳馬が馬券になったのは4例ありますが、全て斤量56キロ以下。それより3キロ重くて上位人気なら、わざわざ資金をドブに捨てる必要はないでしょう。重ハンデ馬なら凡走から巻き返せそうな2頭、前々走を同じ中京2000メートルで勝ったフライライクバード、左回りが圧倒的に上手いクルゼイロドスルが相手でしょう。あとは55キロ以下の4歳上がり馬マコトヴェリーキーと、7戦連続で左回りしか使っていないトーセンリョウの2頭が買えますね。コスモキュランダと人気を争う4歳牝馬シランケドは上がり馬ですが、人気になりすぎです。中日新聞杯で人気の牝馬が激走した例は皆無。お正月の『金杯』をはじめ、これは牡牝混合の古馬ハンデ戦によく見られる特徴で、買わない理由として十分に説得力がある。どうしても買いたい人は、3着の押さえ程度で。とにかく人気上位馬は、前走着順やローテや斤量など数項目で合致しない限り、あまり信用しない方がいい」(T氏)
T氏が挙げた5頭で決まれば、3連単の10万円超えは確実だ。土曜日は人気馬総崩れで、冬の花火を打ち上げてもらいたい。
(宮村仁)