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天才テリー伊藤対談「加藤一二三」(3)藤井四段は今後が勝負どころとなる

テリー もう耳にタコだと思いますが、藤井聡太四段のお話もうかがいたいんですよ。

加藤 この前のNHK杯で藤井四段が森内俊之九段に勝ちましたけど、その時のインタビューで「今までの将棋の中で、加藤先生に指してもらったことが多くのことを学べて、たいへん感謝している」と語ったそうです。しかも続けて「加藤“大”先生」と言ったらしくて、「藤井聡太、頭がいい!」と思いましたね。

テリー アハハハハ! 加藤九段は彼のプロ棋士デビュー戦の相手ですからね。

加藤 いやあ、みごと、みごと。先ほど升田先生との出会いが、のちの私の棋士人生にものすごくいい影響を与えてくれたことはお話ししました。藤井四段も、私と指し合って得たものがたくさんあったと言えるだけの器の持ち主ですので、これからの大成功を期待しています。

テリー なるほど、加藤九段と同じ道を進んで、さらなる偉業が達成できるかもしれない、と(笑)。しかしこれまで藤井四段を絶賛されていた加藤九段が、先日お会いした時には「(藤井四段は)ここからが大変だよ」とおっしゃっていましたよね。少し見方が変わってきたんでしょうか?

加藤 あ、そうですね。彼が29連勝したのは、みごとな勝ちっぷりでした。とても胸がワクワクするような魅力的な将棋を指しますし、作戦もうまい。しかも、少し危ない局面が現れても、感心する受け方で、これを乗り越えるんですね。そういった研究をした結果、私は「藤井さんは大器で、これから大きな期待が持てる」と言いました。

テリー はい。

加藤 ところが一方で、将棋で大事なことは、昇段することなんです。私は14歳で四段になり、その後も1年に1段ずつ昇段して18歳で八段になりました。私だけに限らず、羽生善治さんも谷川浩司さんも、みんな四段から八段まで行っているわけですよ。

テリー それも若いうちに、ですよね。

加藤 ですから、藤井さんがここ7年ぐらいの間に八段になれば「天才」と言っていいでしょう。ところがですよ、7年後に藤井さんが六段だったとすると、将棋の世界では「普通の人」になるんですよ。だから、これからが勝負どころなんです。

テリー 九段から見て、藤井四段は天才ですか?

加藤 秀才型だと思います。毎日雨が降っても風が吹いても、欠かすことなく1日5時間ぐらい将棋の研究をし続ける。こういう努力で成功を収める人が秀才だと思うんですよ。これは私、非常にほめて言っております。立派ですよ。

テリー わかります。それができる人はそんなにいませんから。

加藤 ただし、一方で間違いなく天才はいます。例えば大山(康晴)名人、升田名人、羽生善治さんにしても、そこまで研究しなくても勝てたんですよ。

テリー それは加藤九段も、ですよね。

加藤 いえいえ、自分で言うのは気が引けますけど(笑)。でも、私は18歳で八段に、羽生さんは19歳で「竜王」という最高のタイトルを獲りました。ということは、だいたい名人と呼ばれる人は、20歳前後までにそこまでの位を獲得しているわけです。藤井さんも20歳前後で少なくともA級、八段近くになっていれば、我々は「おお、やっぱり藤井聡太は天才だったんだな」と納得できると思いますね。

テリー そうか。じゃあ今のところは、秀才という判断なんですね。

加藤 そうです、秀才なのは確か。ただ、天才かどうかについては、まだ根拠がないから言えないんです。

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