スポーツ

「6200万円脱税告発」で分かった…4億円的中!馬券公務員“バカ儲け予想術”(3)「納税して起訴」はムチャクチャだ

20161103a3rd

 中村弁護士はさらにこう言って、前課長の胸の内を代弁する。

「金額が巨額だったり二重帳簿をつけるなど悪質な脱税については査察を受けることはあっても、脱税すれば全てが事件になるということはありません。実際、北海道や横浜などでも同様に競馬の払戻金に関する脱税例がありますが、いずれも刑事事件にはなっていません。他の事例との公平性から見ても、今回の起訴はきわめて正義に反すると思います」

 税法上、JRAなど公営ギャンブルで得た払戻金は一時所得金として扱われるため、納税の義務が伴う。中小企業の税務を扱う税理士によれば、

「1回の的中でなくても、1年で90万円を超える払戻金があった場合、翌年の確定申告などで納税する義務が生じます。とはいえ、実際に競馬で高額配当を得ても、申告している人は有名人などを除き、少ないのが実態です。特に窓口などで払い戻しを行っている場合には特定することが難しく、わざわざ申告する人はまれでしょう」

 WIN5購入にはJRAが指定する銀行口座を開設したうえで、インターネット投票することが必須だ。

「銀行に多額の入金があると、調査の過程で税務署が把握するということはある。今回も恐らく、銀行の入出金から発覚したのだと思われます。前課長はいずれ申告しなければいけないと認識していました。払戻金の一部は生活費などで使いましたが、豪遊などせず、ほとんど手をつけていなかった。すでに6200万円の納税に応じ、追徴課税金についても速やかに支払う用意があります。しかも払戻金の総額は4億円超と報道されていますが、実際には3億円程度でした。にもかかわらず、脱税したから懲役だというのはムチャクチャです」(前出・中村弁護士)

 WIN5が的中したばかりに、前課長は失職しかねない苦境に追いやられているという。

「今年3月に強制調査を受け、4月11日付で人事室付に異動になっています。起訴内容を確認し、今後は起訴休暇についても検討します。まだ具体的な処分は決まっていません」(寝屋川市広報広聴課)

 こうした処分に「不公平につきる」と憤るのは、同じく在宅起訴された卍氏だ。

「私は起訴されたことで失職しました。また、最初から外れ馬券が経費として認められていれば指摘後すぐに納税できる額でしたが、国税局が外れ馬券を経費として認めなかったばかりに最高裁まで争うことになり、裁判費用と苦しい分割納税を強いられました」

 再び中村弁護士が、制度上の問題点を指摘する。

「そもそも何十億円という配当を出しているWIN5は、国が行っている事業なのですから具体的にどのように申告すべきかを周知徹底しなければいけない。本来は非課税にするなど、公平な制度を構築しなければいけないのです。今回のように、たまたま当てただけの人を捕まえ、それに税金をかけるだけでなく、前科者にまでするのは明らかに不当ですよ」

 今年8月にはWIN5で4億円を超える超高額配当が出たばかり。的中したばかりに起訴されるのでは、競馬人気に水を差すばかりだ。競馬ファンは本気で眉をひそめている。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
ロッテ戦で…大量ロジン「粉舞い投球」に日本ハム・新庄剛志監督が「イヤなんですよ」嫌悪爆発
2
【香港GⅠの悲劇】全てを悟った川田将雅は号泣「ターフで麻酔」リバティアイランド「安楽死処置」の一部始終
3
前田日明「しくじり先生」で語らなかった「最大のしくじり」南アフリカ先住民事件
4
前世の記憶を持つ少年「僕は神風特攻隊員だった」検証番組に抱いた違和感
5
米ツアー初Vがメジャー制覇!西郷真央を押し上げた「師匠・ジャンボ尾崎の指導に反論」ポリシー