ネコ

クールボーイが再び脱走したことを、保護猫としてお世話してくれたMさんには電話で伝えた。「クーちゃん、また、いなくなったの！？」半ば、怒っている。「探してもいない？どこに行ったかわからない？」「見つかるか出てくるか、待ってたから、探すのはこれ…

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クールボーイは5日間の脱走生活から戻ってジュテ、ガトーの兄たちと仲良く暮らしていたが、その半年後に再び、いなくなってしまった。20年、ゴールデンウイーク前のことだった。「クール、いる？」連れ合いのゆっちゃんが言ってきたのは、午後になってから…

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「ギャギャギャギャ！」突然、どこかで暗闇を閃光が引き裂くような、大きな音がした。ビールを飲みながらテレビを見ていたのだが、椅子から飛び上がりそうになった。「猫！」「かかった？」驚いたのは、連れ合いのゆっちゃんも同じだ。声を発した時には、玄関…

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クールボーイが脱走してから4日目は、朝、昼、晩と何度も我が家の並びの4軒目の空き家、隣の学習塾、その境にある学習塾の裏階段の辺りを見回った。連れ合いのゆっちゃんも、空き家の塀から中を確認したという。だが、クールは僕が3日目に見たきり。もうい…

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クールボーイが自宅裏の並びの4軒隣り、学習塾の裏階段で見つかり、思わず「いた！」と叫んでいた。連れ合いのゆっちゃんも興奮して「どこ、どこ？」と大きな声を出している。「ほら、学習塾があるだろう、あそこの裏に階段があるの、わかる？」「あるよ、外…

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クールボーイが脱走して3日目の朝。早くに起き、すぐに玄関を出て、小動物用捕獲器を確認してみる。何の気配もないので、クールは入っていないだろうとわかった。やはり、中にはいない。ご飯を食べたのかも確認したら、踏み板のあたりに撒いたカリカリは、や…

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猫探しは、クールボーイが初めてではなかった。マンションに住んでいた時、最初の猫のジュテは外飼いをしていた。3階の玄関のドアから下に降りて行って散歩、トイレを済ませて帰って来るのだった。もっとも、最初の頃は2、3日いなくなることもあって、近所…

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夜になって、末弟の保護猫、クールボーイをお世話してくれたMさんに連絡を入れた。「クールがいなくなったみたい」「どうしたの」「午後、いや午前中かもしれないけど、ずっと姿が見えない。脱走したんだと思う」「もしかして、窓や玄関を開けたままだった？…

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「クールボーイはどこから出て行ったのかしら」連れ合いのゆっちゃんにも僕にも、全く心当たりはない。玄関のドアはもとより、各部屋のサッシなどもいちいち、空いていないか確認している。保護猫だからというより、3年前に引っ越してきた戸建ては近くを大き…

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「いない？」「やっぱり、いない」僕と連れ合いのゆっちゃんは、途方にくれた表情で顔を見合わせた。いつかこんなことが…。そう思いながらかわいがっていた猫だったが、現実になった瞬間だった。クールボーイ。体のほとんどは白い毛に覆われているが、顔の左…

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11月2日。朝、目が覚めるとジュテの棺を1階に運び、リビング横の和箪笥の上に寝かせた。箱の隙間には保冷剤を入れて。スマホで撮った写真を駅前のDPEでプリントしてもらい、遺影にした。動物病院からお花をいただき、祭壇は賑やかになった。以前、住ん…

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ゆっちゃんは目を腫らしたまま、花を抱えて帰ってきた。「ジュテ、お花をいっぱい買ってきたよ」緑色の箱にすっぽり収まったジュテの周りには赤や白、黄色、ピンク、緑の葉を飾り、賑やかになった。目を覚まし、すり寄りながら「ニャーと鳴いておくれ」と思わ…

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