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大阪万博が開かれた70年、辺見マリ(65)は「経験」の大ヒットで一躍、スターダムに乗った。同年の紅白にも出場を決めたものの、なぜか、耳慣れない曲が選ばれていた‥‥。
初めて紅白に出てから、もう45年がたちます。時の流れは速いものです(笑)。
私のデビューは69年11月10日、「ダニエル・モナムール」という曲でした。実は、もっと早く発売するはずが「ジュテーム」の響きが悩ましすぎると録り直し。ソフトな歌い方に変えて、36位の小ヒットになりました。
そして、翌70年5月11日に発売したのが「経験」です。新人にとって2作目は勝負曲です。そのため、手を前にかざす振り付けも自分で考えました。演歌の人はロングセラーもありますけど、私はポップス。これがヒットしなかったら次はないという覚悟でしたね。
ありがたかったのは「夜のヒットスタジオ」の司会の前田武彦さん。私は歌い出しのカウントを取るつもりが、前武さんには「♪ハやめてェ」と聴こえる。それがおもしろいと強調してくれて、そこからヒットにつながったと思います。
── 「経験」はオリコンチャート2位、48万枚もの大ヒットを記録。同年のレコ大新人賞にも選ばれたが、奥村チヨの「恋の奴隷」と同じく、NHKで歌う機会は訪れなかった。
私は渡辺プロでしたから、ザ・ドリフターズの全国巡業の前座も経験したんです。ある日、四国のどこかの会場で「経験」を歌ったら、反応が「ウワーッ!」という感じで、こっちが驚きました。
そしたらマネージャーに「関西方面の有線から火がついているぞ!」と言われ、あの反応の理由がわかりました。
ただし、NHKの歌番組では1度も「経験」は歌わせてもらえなかった。紅白に選ばれたのは3作目の「私生活」です。実はこの歌の出だしは「♪止めてェ」で、「やめて」はダメなのに「とめて」はいいのかしらと思いましたよ(笑)。
紅白では階段の上から降りて来て、センターマイクにたどりついたら歌うという演出でした。ところが、降りている途中にベテランのアイ・ジョージさんが飛び出して、抱きつこうとしたんです。私のファンだったというかわいらしい理由でしたが、白組の出演者の方々が皆で止めてくれて事なきをえました。私は歌い出しに間に合わなかったらどうしよう‥‥と、そっちのほうが心配でしたね。
その白組には西郷輝彦さんも「真夏のあらし」で7回目の出場をなさっています。マスコミにも気づかれていませんでしたが、実はこの時、すでにおつきあいしていたんです。紅白の先輩として、どんなアドバイスをいただいたか記憶にはないんですが、ただ、同じ会場で温かく見守ってもらっているという感覚はありましたね。
結局、私にとっての紅白は、その2年後に西郷さんと結婚して引退したこともあり、この1度きりに終わりました。それゆえに、私にとっても歌い慣れた、またテレビの前でも期待されていた「♪やめてェ」を歌いたかったという思いが残ります。
離婚後に芸能活動を再開させて、NHKでも「経験」が解禁になって、司会の方に「思う存分、歌ってください」と紹介されました。うれしい半面、「何で今なの?」と思わずにいられませんでしたね。
アサ芸チョイス
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